資産税に詳しい税理士さんは 実は少ない!

会計上の損益だけでなく、キャッシュフロー経営が大切だということがお分かりいただけたと思います。

しかし、不動産などの資産税に精通した税理士が少ないのが現実です。

冷静に考えれば、税理士さんのほとんどは「税金を納める計算をする人」のような気がします。

ですから、アバウトでも「自分で対策を練る」のが良いでしょう。

では、税理士さんの選び方を考えてみましょう。

よく悩むのは、果たして知り合いの税理士さんに「相続税申告を安易に頼んで良いのか・・?」ということ。

一口に税理士といっても、いろいろな人がいます。

一般人は、「税理士」と聞くと所得税、法人税、相続税、全てこなせると思っていることでしょう。

相続の場合、日本で年100万人がなくなっています。

そのうち、相続税の申告者は約5%の約5万人。

一方、税理士さんの数は日本全国で7万人。

単純に1人1件としても、2万人は相続税の申告などしたことのない人です。

相続税は、それを得意とする税理士に集中します。

税理士になる方法は、

1. 税務署に勤務して、退職後に税理士になる人

(かかわっていた申告業務だけ得意)

2. 税理士試験に合格した人

3. 弁護士や公認会計士の免許合格者

相続関係の仕事は、外科手術とよく似ています。

経験数が物を言うし、最新の技術や知識を学ぶ人でないとやばいのが現実。

大家さんや地主さんが税理士に持つ不満ランキングは、

1位:申告や節税に対するアドバイスがない

2位:頼みごとをしても対応が遅い

その理由とは・・?

⇒ 税理士が十分な知識を持っていないので対応できない

⇒ アドバイスをして不都合が起こったら困るので、責任回避している

⇒ 何もしなくても顧問料が入るので、忙しくなるのはイヤだから、セカンドオピニオン的相談相手が必要にな

ります。

一番困るのは、「質問しても意見を言ってくれないこと」。

【相続税の実力を見極めるための魔法の質問】

「どれぐらい相続税の申告をやったことがありますか・・?」

「相続税のシュミレーションをお願いしたい・・!」

「相続税がどれぐらいになるか計算して欲しい・・!」

「1ヶ月待ってくれ」というようならダメです。

即、「すぐできますよ」といって対応できれば○です。

自信のない税理士は、多めに申告する傾向があります。

だから、税務署が何も言ってこなかったというのではダメです。

税務署と、がちんこのせめぎ合いをしてくれる方があなたには得があります。

税金対策の意外な落とし穴?

では、ここから相続税の節税によいといわれるアパートやマンション経営に潜む「意外な落とし穴」について説明します。

【アパマン経営特有の数字のトリック!】

物事には裏と表があります。

アパート専業メーカーの営業マンに勧められるまま、アパート経営に乗り出す大家さんがほとんどです。

確かに、アパート経営には、相続税・固定資産税の節税効果はあります。しかし、所得税に関しては誰も言いません。

だから大家さん自身が、「大家さん特有の税金の仕組み」を知る必要があります。

このトリックを知ってアパート経営を始めるのか?

それとも知らずに始めるか?

当然ですが、知っておいたほうがリスクヘッジになるのは言うまでもありません。

【減価償却効果も次第に薄れてくる!】

アパート経営を開始した当初は、帳簿上はあまり儲かっていないにもかかわらず、銀行預金にはお金がたくさんある状態が続きます。

その原因は、「減価償却費」です。

「減価償却費」とは、「実際は現金を支払わないにもかかわらず、税務署が経費として認めてくれる費用」です。その結果、所得税0でも財布にはキャッシュが残るわけです。

実はココにトリックがあり、「これからも儲かり続ける」と錯覚してしまいます。そして、豪華な車を購入したり、毎晩、歓楽街に繰り出したり・・・。

しかし、新築で15年(中古の場合、買い方にもよりますが数年)を超えると減価償却費が減り、所得税が牙を剥いてきます(経費にできる減価償却費が減る)。

まず、キモに命じて頂きたいのは、アパート・マンション経営が「最初の頃に儲かるのには訳がある」ということです。

【借入金の返済にもワナが潜んでいる!】

借入金の元金返済に注意が必要です。

課税所得を計算する上で、元金の返済は経費とすることはできません。

アパマンの借入れのほとんどは、元金均等返済方式で、返済開始当初は利息がほとんどです。

ですから、返済年数を重ねていくにつれて、経費にできる金利部分が減り、経費にできない元金部分が増えていくのです。

以上のように、大家業という業種は、「黒字倒産の危険性が高い業種」だといえます。

アパート・マンション経営は所得税対策に優れていると言われていますが、それは最初だけです。

次第にその効果は薄れ、手元に残るキャッシュ以上に申告所得が大きくなってしまうのです。

どんな大家さんでも建物の修繕は必要になります。

周囲にライバル物件がたくさん建ち並べば建ち並ぶほど、より商品力を高めないと入居者を獲得することはできません。

しかし、新築でも13~14年後に、必ずこの現象に出くわします。

このことを知っていれば、豪華な車を購入したり、毎晩、歓楽街に繰り出したりせず、再投資資金を戦略的に蓄える必要があるのです。

資産は三代続くと無くなる!

相続税のコンサルの現場で、いつも感じるのは相続税の過酷さです。

「相続税」という税制度には、ホントウに恩赦的な配慮というものが全くありません。

「富の再配分」や「所得税の補完」という考え方はわかりますが、本来、生活保護の必要のない人たちが遊戯店などで真っ昼間から遊んでいる姿を見て悔しい思いをする人もいるはず。

よく昔から、「資産は三代続くとなくなる」と言われています。

例えば、兄弟が3人いた場合、その遺産をその3人で平等に等分するとしたら、一人当たりの相続分は1/3になります。

さらにそれぞれに子供が3人いるとして、また平等に三等分すると、元の資産が3×3=9となり、孫の代になると1あった資産は、1/9となります。

こうして三代目にわたる遺産はスズメの涙程になっていきます。

昔から、「子孫に美田は残すな」といいますが、自分が苦労して築き上げた資産を子供達の人生のために譲りたいのが人情です。

その人情の前に立ちはだかるのが「相続税」という大きな壁。

現在、「相続税課税対象者」は100人中4.5人。すなわち4.5%程度です。

しかし、日本国政府は、今後は財政難から大増税路線に大きく舵をとるでしょう。

そうすればこの「相続税」も増税するのは間違いないと思われます。

ここ数年、多くの相続相談をこなしてきました。

その現場で、いつも感じるのはその資産構成比率の偏りです。

ほとんどの人の資産構成のほとんどは「不動産」だけなのが現実。「不動産」は沢山あるにもかかわらず、納税資金としての現金もなければ有価証券もない。

「イザとなったら物納(土地で相続税を軽減する)」と、ほとんどの人は言います。

しかし、国はそれほど肝要ではありません。

相続税を支払う現金がなければ延納。そして、延納の次が物納です。国も相続税のかわりに土地をもらいたくないのです。

ですから、「○○建託のように遊休地にアパートを新築して負の資産を作る前に、現在の遊休地を売って中古のアパマンを購入すれば、来月からスグに現金(納税資金)が入りますよ」ということです。

普通、木造の新築でも建設期間も含めて6ヶ月程度はかかります。さらに家賃保証であれば、当初の3ヶ月間は「免責機関」で保証家賃は支払ってくれません。それだけでも9ヶ月先でなければ現金収入は得られません。

鉄筋コンクリート造のマンションであればさらに先になるでしょう。

だったら、土地を売却か担保にしてお金を借りて中古マンションやアパートを購入する方が、「納税資金を得る」という意味で有利です。

そのようなことを誰も言いません。それが不思議です。

相続対策は必ず3つの対策を立てて初めて成り立ちます。

① 分割対策 ⇒ 遺言、生前贈与

② 納税対策 ⇒ 資産分析、土地の3つの色分け

③ 節税対策 ⇒ 資産圧縮(アパート経営など)

医者が診察なしで、薬を処方しないのと同じで、これらの対策をたてるには「資産分析」が必要です。

ここで、このブログをお読みのあなたへの質問です。

「今、資産がどれぐらいあるか、相続税がどれぐらいかかるか、知っていますか?」

被相続人が死亡した場合、相続開始(死亡した日を知った日)から10ヶ月以内に相続税の申告・納税をしなければなりません。

この短い期間で上記の三つの対策はできません。

また、子供達から相続税の話を切り出すのも難しい(死んだ後のことを切り出すのは気がひける)。となれば、予め被相続人が、上記に上げた①分割対策(遺言、生前贈与)、②納税対策(資産分析、土地の3つの色分け)、③節税対策(アパート経営など資産圧縮)の道筋をつけておくべきでしょう。

しかし、ほとんどのアパート専業メーカーが言うのは③のアパート経営など資産圧縮「節税対策」だけです。

その目的はひとつ。自らが儲けるためです。

専門家はあなた自身!

よく、空室で悩む大家さんや家賃滞納で悩む大家さんからの相談で、内見の時に大家さん自身が立ち会ったほうがよいのかどうかとの質問を受けることがあります。

私の答えは、「立ち会ったほうが良い」です。

その理由は、家賃滞納を防ぐには、内見者の人となりを観察するべきでしょうし、また、内見に連れてきた不動産業者の営業マンより、物件の持ち主であるあなたの方が物件のセールスポイントに関して、よほど詳しいからです。

また、アパート・マンション経営において、真の専門家はあなた自身です。

なんといっても経営しているのですから・・・。

設計士はアパートを自分の作品と考えます。また、ゼネコンは利益が確保できるように設計変更を要望します。さらに、銀行は担保を多く取ることと金利

を稼ぐことしか考えません。不動産業者は、自分の手数料のことしか考えません。大家さんのために戦ってくれる税理士はいません。

少し言いすぎかもしれませんが、そんなアパマンの専門家もどきが、よってたかって、あなたの資産をいじくりまわしているような気がします。

ですから、全てを丸投げするアパート・マンション事業は、なかなかうまくいくはずありません。

また、私にも苦い経験がありますが、ひとつの問題に関して相談した場合、士業に相談してもそれぞれ言うことが違うのが一般的です。まぁ、それぞれの立場によってアドバイスが違うほど、アパート・マンションは複雑怪奇なのですが、

あちらを立てればこちらが立たずでは困るのが現実。

であれば、ワンストップで相談できるパートナーと付き合うか、自らがアパート・マンション経営について学び続けない限り、現状はなんら変わらないよ

うな気がします。

あなたの物件と事業について、「真の専門家はあなた自身!」だということを決して忘れないで下さい。

アパマン経営も事業です。

事業である以上、すべてお任せでは成功は望めません。

丸投げすれば楽でしょうが、世の中に、ラクして儲かる商売はないと思い、粘り強く進めてください。

そうすれば、自分の物件の市場価値を高めた分、天は、あなたに適切な報酬を用意するは間違いありません。

デットクロス回避方法 2

⑦ 「ローンの返済期間延長」を交渉する!

銀行に期間の延長を申し出て、返済額に占める元金の額を減らす(ただし、信用力が低下する)。

⑧ 「ローンの借り換え」により返済期間を延ばす!

新たな金融機関から借り入れて、先の金融機関に一括返済する。ただし、登録免許税などの経費が必要。

⑨ 「売却」する!

売却して債務が残らないのであれば、売却するのもひとつの方法。

⑩ 「売却」し、「新たに購入」する!

デットクロスが起きてしまった物件を売却してかなりの売却益が出る場合は、新たな収益物件を購入することはとても有効な方法。

その理由は、新たに減価償却もでき、節税も可能な上、デットクロスを先送りできるからです。

また、事業用資産の買い替え特例を使えば、税金上も有利になる(王道)。

⑪ その他

事業開始当初から内部留保を進めておく。その為に大切なことは満室経営と家賃額のアップ(売上アップ)。

デットクロス回避方法 1

① 「自己資金」を多くする!

自己資金を多くすれば、返済する元金も少なくなるのでデットクロスの影響は少なくなる。(特に中古を購入する場合、バランスが重要)

② 「元金均等返済方式」で借りる!

デットクロスの時期は早くなるものの、最初から元金を返済するのでその影響は少ない。

③ 「返済期間」を短くする!

元金の返済が多くなるので、その影響は少なくなる!

④ 「減価償却の仕方」と「青色申告のセオリー」を守る!

必ず「青色申告」をし、減価償却は建物7、設備3のセオリーを守り、設備は必ず「定率法」で減価償却する。(あえて赤字にし、赤字の繰り延べを活用する)

⑤ 「繰上げ返済」をする!

余剰のキャッシュで繰り上げ返済をすれば、デットクロスの影響は回避できる(財務状況も良くなる)

⑥ 「新たな減価償却費」を手に入れる!

新たな物件を購入するか、新たな減価償却を手に入れる。

税金対策が必要になる本当の理由

税金対策が必要になるというのは、デッドクロスと大きな関係があります。

デッドクロスの時期は、ローンで建てた賃貸物件なら必ず築後10~15年後頃訪れます。

これは、減価償却費の多くを占めていた設備部分の減価償却が築後15年前後で終わってしますのと大きく関係しているわけです。

また、この築10~15年頃という時期は、ちょうど建物自体の築後初めての大規模なメンテナンスが必要になります。

10年以上も経てば、周辺には新しいアパートやマンションが建ち、その設備も最新の仕様になっていくので、どんどん競争は激化していきます。

しかし、デッドクロスが起こってしまうと、必要なリフォームをしようにも、手元に残っているキャッシュよりも申告所得の方が大きいため、思うように出来なくなってしまうのです。

だからといって、リフォームを先へ伸ばせば、ますますアパートの競争力は衰え、次第に空室が目立つようになるという悪循環に陥ってしまうことになります。

ですから、この来るべき日のために修繕費の積立を計画的に行い、様々な税金対策をしながら、資金を蓄えて(内部留保)おくことが重要です。

一般の投資家の多くは、「単に無駄な税金は払いたくない」という理由で節税を考えますが、賃貸経営者にとっては、「入居者により良い暮らしを提供するための原資をつくる」ことが節税の本当の目的にならなければいけません。

法律の範囲内で賢く税金を節約し、入居者へ常に快適な住空間を提供し続けることが、賃貸経営成功の秘訣といえるでしょう。

中古アパートなどは要注意

●減価償却期間の少ない中古アパートなどは要注意

特に、築年数が古く減価償却期間の残り少ない中古アパートなどは要注意です。

減価償却可能な額にもよりますが、購入後、すぐにデッドクロスが起き、税務状態が急速に悪化する可能性が非常に高くなります。

そのため、自己資金の比率を高めたり、減価償却の仕方を工夫するなどして対策を講じる必要があります。

デッドクロスの正体

実際にお金は出ていかなくても、経費にできる減価償却費は、築年数が新しいほど額が多く、経年と共に減少していきます。

一方、実際にお金は出ていくものの、経費にできない元金返済分は当初の額は少ないが、経年と共にその額は大きくなっていきます。

そうなると、そのうちお互いの額が逆転してしまうポイントに出くわします。

このクロスするポイントをデッドクロスといいます。

このポイント以前は所得税の軽減効果がありますが、これ以後は実際に手元に残っているキャッシュよりも申告所得の方が多くなってしますため、何かしら対策を講じなければ、満室経営を続けていても年々財務状態は悪化してしまうことになります。

このデッドクロスは、ローンが元利均等返済であれば、およそ、どのような構造の建物でも築後10年から15年頃に訪れることになります。

一方、元金均等返済の場合はもっと早く、築後約7年前後でデッドクロス現象が起きることになります。

融資申し込みに必要な書類

銀行員もサラリーマンです。

書類を、もれなく万全に作成できればできるほど、好印象を与えられるだけでなく、審査のスピードが変わります。

融資申し込みに必要な書類

①業者側で用意できるもの

•物件所在地図

•公図

•測量図

•土地登記簿謄本

•建物登記簿謄本(新築の場合は不要)

•建物図面

•建築確認済み書(随時)

•諸経費一覧(費用負担割合表)

•路線価図

•家賃一覧表、家賃査定書(新築の場合)

•事業収支計画書

•工事見積り書

•競合物件調査一覧表(家賃相場一覧表)

②オーナーが用意するもの

•土地固定資産税評価証明

•住民票または戸籍謄本(もしくは運転免許証のコピー)

•印鑑証明書(本人と連帯保証人)

•所得を証明する書類(源泉徴収表、所得証明書など)

(法人の場合)

•3期分の法人の決算書

•確定申告書(3年分)

•納税証明書その1とその2(3期分)

(個人事業者、確定申告をしている人)

•確定申告書(3年分)

•納税証明書その1とその2(3年分)

③他に担保を提供する場合

•物件所在地図

•公図

•土地・建物の登記簿謄本

•土地・建物の固定資産税評価証明書

④投資物件を所有している場合

•物件所在地図

•土地・建物登記簿謄本

•家賃明細書

•借入がある場合は返済予定表

【書類の取得方法】

公図、謄本  (管轄の法務局、インターネット)

住民票、戸籍謄本、印鑑証明、所得証明、固定資産税評価証明書、名寄せ帳 (市区町村役場)

納税証明書  (管轄税務署)

源泉徴収票  (勤務先)