クジラなのか?カモなのか?記憶力はあるのか?

クジラなのか?カモなのか?記憶力はあるのか?

リーマンショックの時代、

「毎日たくさん持ち込まれる案件から一番いいものを選ぶから絶対に損しない(日経 2008.12.19)」と真顔で語った農林中金。

低信用力(サブプライム)住宅ローン担保証券で損失1兆円、33兆円の有価証券を抱えて立ち往生しました。

JA グループ…農家のお金を2兆円つぎ込み損失補てん・・・。

その農林中金を世界が注目します。今度は低信用力企業ローン担保証券投資。

市場規模88兆円(8000億ドル)のうち農林中央が7.4兆円。

今や市場の「クジラ」で、ここでの「発行額や時期は農林中金次第」です。

「厳選して投資・・・、リスクとリターンが合えば今後も投資する(日経2019.5.23)」と語っています。

「サブプライムローンを思い出させる・・・、大丈夫なのかな・・・?」、「日経ヴェリタス2019.6.9」は心配しています。

ゼネコン各社は不動産開発にのめり込みバブル崩壊で危機へ。

今、清水建設は投資の3分の2を不動産開発に投資しています。

「社外取締役制度導入などガバナンス機能は向上している。当時と同じことにはなりようもない」

から大丈夫だとか・・・。(日経 ビジネス2019.6.17)

記憶力はあるのか?

これからの法人終身ガン保険!

これからの法人終身ガン保険!

近年、保険期間が終身で保険料の払込期間が有期のガン保険であっても、法人経営者向けに保険料の払込期間を著しく短期間に設定し、

かつ、その支払い保険料の額が高額なものが販売されている実態があり、

そのような「例外的扱い(…前記の平成24通達一)」の前提としていなかった保険料の払い込み期間と

保健期間(終身)に著しい差異がある保険に係る支払保険料の 額についてまで、「例外的取扱い」の対象となり、

課税所得の適正な期間計算を著しく損なう結果が生じていまし た。
(2019年6月28日国税庁パブコメ回答)

まさに前記、終身なのに3年有期払込のガン保険のことです。

「例外的取扱い」を含めこの平成24年通達は廃止。今後の終身なら「年齢が116歳に達する日まで」の期間配分で損金です。

3年分300万円ほとんど資産計上。50歳契約なら116歳までの66年間に分け毎年5万円弱(=300万円÷66年)だけチビチビ損金化。

「解約返戻金相当額のない(又はごく少額な払戻金の) 短期払保険に加入した場合において、

当該事業年度に支払った保険料の額が(他保険含め一人につき計)30万円以下であるものについて、

その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入している時にはこれを認める。(改正法基通9-3-5の2)

「少額だといちいち面倒、年30万円までなら損金にしてもまあいいか」と新例外的取扱い。

つまり、保険料が年額30万円以下なら損金にできる時代です。

フツーの終身ガン保険を3年ではなく10年有期にしましょう。年払30万円で10年総額300万、これなら年30万円以下。

通達クリア。10年後名義変更です。

これからは年払30万円で10年等有期払、返戻金ナシ終身のガン・医療・定期保険が流行です。

これまでの法人終身ガン保険!

これまでの法人終身ガン保険!

ずっと昔の法人終身ガン保険!

「法人が利益留保を目的としてガン保険に加入するとは考えられない!」(昭和50年法人ガン保険通達)

何ともおおらかな時代でした。通達にこんな文言が書かれているのです。

満期保険金さえなければ損金にできた時代でした。保険会社は通達の抜け穴探し。

満期金ナシだけど年払保険料100万円で10年後の解約返戻金ほぼ1000万円・・・。

「利益留保だけを目的」とする 終身ガン保険。

おおらかだった国税庁も抜け穴封じ規制を繰り返します。

そんな「解約返戻金アリ節税保険」をそれなりに規制しました。

しかし、「解約返戻金ナシなら損金にしてもまあいいか」と「例外的取扱い」を示しました。

「(例外的取扱い)保険契約の解約等において払戻金のないもの

(保険料の払い込み期間が有期払込みであり、保険料払い込み期間が満了した後の解約において、少額の払戻金のある契約を含む)

である場合には、(・・・資産計上の通達の規定にかかわらず・・・)保険料の払い込みの都度、当該保険料を損金の額に算入する」
(平成24年4月27日法人ガン保険通達)

つまり、「解約払戻金」がなければ損金にできた時代です。

でも国税庁は甘かった。「例外的取扱い」そのものが抜け穴。

保険会社は前記フツーの終身ガン保険を3年有期払込にします。最初の3年間だけ保険料払えばあとは払込不要の保険です。

年払保険料は100万円、3年間で総額300万円、解約返戻金ゼロの終身ガン保険。契約者・受取人が法人で、被保険者が社長。

「例外的取扱い」により3年分保険料は全額が損金になります。(2年・5年・10年等商品もあり)

社長個人に名義変更し、社長が会社から保険契約を買います。

解約返戻金で買い取るのが原則ですが、返戻金ゼロなので実務は10万円(入院日額1万円10日分)等で移すことが多いようです。

社長個人はたった10万円で本来なら保険料3年分の300万円近い価値の終身保障を買いました。

個人が負担すべき保険料を法人負担にし、更に損金にします。 もっと高額なガン保険も。

正直な所、拍子抜け!

正直な所、拍子抜け!

通達案事前説明を受けた生保幹部たち。

生保業界と裏で握り合っている印象。(ダイヤモンドオンライン2019.4.11)

保険料1億円で解約時に85%8500万円戻る保険は、改正前は全額損金。

それが4割4000万円損金へ。ただ解約時 50%、5000万円。戻りなら改正前と同じ全額損金。

最高解約返戻率(保険料の最大何%が解約返戻金で戻るか)が50%までなら全額損金、

50%超~70%なら保険料の6割が損金、70%超~85%なら4割が損金です。

85%超には厳しく、86%なら当初10年は約2割(=1-86% × 0.9) だけ損金。新契約から適用。

既契約には遡及なしお咎めなし。これからは最高解約返戻率をMAX50%・70%・85%にします。

大同生命は保険料と返戻金の比率を指定できる新商品を7月11日に発売します。

「節税」をうたわず「保障重視」で販売します。(日経2019.7.11)。

高収益会社には簡単に高額保険が売れましたが、今後は、必要保障や財務状態コンサル必須。

新たな通達の抜け穴探しを再開。 保険節税マンは失職の危機、相続マーケットに流入します。

節税商品は自由化を逆手に?

節税商品は自由化を逆手に?

何しろ保険料は、「安い」よりも「高い」方が節税になります。

純保険料は審査対象なので本来の100万円。付加保険料は本来50万円だとしても、5万円でも500万円でも自由に決めてOKです。

純保険料100万円で、付加保険料は本来50万円のところを900万円にし、合計で保険料1000万円にします。

通達上では全額損金になる保険に仕立てます。

企業は年払保険料1000万円を払い続け全額損金処理です。

保険会社に年850万円(=1000万円-150万円)が預かり状態(実際には純保険料にも預かり部分がありその合計が850万円)で残ります。

10年後解約。10年累計で保険料1億円全額損金。保険会社に残る8500万円がそのまま解約返戻金8500万円なのです。

そして毎年の保険料1000万円が国税通達で損金になるよう外見を装います。

払った保険料が全損になるのにその85%もが解約で戻る保険商品完成です。

つまり普通ならAとされて資産計上のはずでも、ギリギリBとして全額損金となる保険商品を偽装しました。

これが問題のきっかけ、日本生命「プラチナ・フェニックス」の正体、1億円全額損金で返戻金8500万円の保険です。

国税は激怒。全生保会社が恐れおののき保険販売を止めて謹慎しました。

結果は随分と優しい改正、これで済んでよかった。

節税営業マンには死活問題です。

節税保険の通達改正!

節税保険の通達改正!

6月28日公開、7月8日適用開始。

不動産を使ったノーリスク節税商品「売価で買戻し」が流行すれば国税当局は償却費損金算入や相続評価を必ず否認します。

国税は保険に甘い。払った保険料全額が解約返戻金で戻れば「売価で買戻し」と同じなのに損金可です。

ただし、最大手日本生命が極端な節税商品を流行させ、国税庁が激怒し通達改正へ・・・。

通達の抜け穴を探し、抜け穴商品設計を繰返すのが生保業界。通達を逆読みします。

「Aなら資産計上、Bなら損金算入」との通達なら、実態Aの保険商品を、ギリギリ Bと偽装させる保険商品の開発に走ります。

生命保険料は「純保険料」と「付加保険料」の合計額です。

純保険料とは「契約額の死亡保険金を払うのに必要な純粋保険料」、その死亡保険金額にぴったり必要な、

言わば原価が年100万円ならそれが純保険料です。

純保険料は死亡率等で決まり、同じ平均余命表を準拠すれば生保各社同じ100万円になるはず。

純保険料だけでは人件費や経費を払えず保険会社は成り立ちません。もし別に経費50万円必要なら純保険料100万円に50万円付加。

それが付加保険料です。保険料はその合計の150万円です。

金融自由化前。旧大蔵省が純保険料100万円で付加保険料50万円と認可決定し、全生保会社の保険料は一律150万円でした。

実質は公定保険料だったのです。

当時、弱小保険会社でも利益の出る水準の50万円を付加保険料と旧大蔵省が定めます。

弱小も日本生命も一律50万円、護送船団方式と呼ばれました。

日本生命ならその50万円で膨大な利益を享受できて、パブル期には「ザ・セイホ」の名前を世界中に響かせます。

保険業界の凄さは付加保険料の仕組みで利益が確実保証された業界ということ。

だから潰れないはず(ただ想定外のバブル崩壊、大事故では潰れましたが・・・)。

現在の保険料は、各保険会社ごとに違います。金融自由化で付加保険料が金融庁の審査対象外になったからです。

純保険料100万円部分は審査対象ですが、付加保険料50万円部分は勝手に決めてOK。

生保各社の企業努力で保険料を安くする目的でした。

ソフトバンクの現物出資は〇!

ソフトバンクの現物出資は〇!

2018年3月期利益は連結1兆円。それなのに法人税ゼロ。なぜ・・・?

ソフトバンクグループ(以下、SBG)は、2016年に英国半導体設計アーム社を3.3兆円で買収。

「SBGはアーム社純資産(0.3兆円)を大幅に上回る価格で同社を買収し、その結果3兆円を超える『のれん』が発生。(日経)」

純資産0.3兆円なので差額3兆円はノウハウ技術力等無形の財産価値です。それが「のれん」。

SBGはアーム社株式の一部(50%と推定)、1.6兆円(=3.3兆円×50%)を系列のファンドに現物出資で移転しました。

SBGは簿価1.6兆円の株を1.6兆円で移したので会計上では損益ナシ。しかし税務は違います。

買収後のアーム社は非公開会社。その株式の現物出資です。

税務は現物出資を時価売却と扱います。では非公開会社株式の時価は幾らか。

税務での株式時価は純資産価格が基本。だから0.2兆円(=0.3兆円×50%)。

SBGでは簿価1.6兆円の株式ですが、税務上の時価は0.2兆円。

だから1.4兆円の売却損。おかげでSBGは最終赤字で法人税ゼロ。残った欠損金は10年有効です。

「東京国税局はアーム株移管に伴う1.4兆円を含め、2018年3月期に発生した2兆円を超す欠損金について税務調査した結果、

欠損金についての処理は税法にのっとったものと認める形となった。(他の理由で一部修正申告アリ)

それでも巨額の欠損金が残るため追徴課税は発生しなかった。」(日経新聞2019.6.21)

不動産価格にも二つの価格です。

収益価格1.6億円で買った賃貸物件。その積算価格は(極端ですが)0.2億円。

税務での基本は積算価格(適正な建物簿価+土地公示価格水準等)です。

0.2億円で現物出資・・・?、すぐなら危ない・・・?、年月経過なら・・・?、工夫のしどころ・・・?

ココイチの減価償却は×!

ココイチの減価償却は×!

カレーチェーンの「CoCo壱番屋」。

創業者は音楽ホールを運営する音楽界のパトロン。

億円単位にもなるバイオリン名器「ストラディバリウス」等を若き音楽家へ貸与します。(以下の金額は一部推定仮定)

さて、そんなバイオリン30丁を20億円で同族会社に売却します。

ポイントは減価償却。楽器の法定耐用年数は5年です。しかし、ストラディバリウスなら17-18世紀の作。つまり5年経過です。

簡便法耐用年数はベンツ同様2年。償却費20億円で赤字20億円。

さて、赤字活用で相続税対策です。

売買代金20億円のうち10億円が未払いのままで、言わば創業者から会社への貸付金状態です。

その10億円を放棄。会社は債務免除益10億円計上。しかし、赤字20億円で相殺でき、法人税ゼロ。

個人財産20億円分を法人に移しました。しかし、売買代金相当(貸付金)が相続財産になります。

その貸付金も放棄で消しました。相続税はドンと減るはず・・・。

税務署は減価償却費の否認。

「楽器も貸与して(事業活動として)いれば減価償却できる!」と税理士から説明を受けた・・・。

普通の音楽家が使用する普通の楽器ならその通りでしょう。

しかし、法人税施行令は「時の経過によりその価値の減少しないものは償却資産にならない」。

美術品や骨董品等のことです。このバイオリンもおなじです。だから償却費20億円はゼロに・・・。

そして、20億円の赤宇も消減し、債務免除益は相殺相手消滅で利益として残り法人税課税です。

「国税局は…いずれの楽器も減価償却の資産にならないとして、約20億円の申告の誤りを指摘した。(朝日新聞)」

追徴課税は過少申告加算税を含め5億円。

更に想定外の贈与税課税です。

債務免除10億円により会社純資産が10億円分増えます。それは株式の株価評価が上がること。

株主が子で、 会社に債務免除したのが親なら「みなし贈与」課税で贈与税(相基通9-2(3))。

「同族会社の株主である夫妻と親族5人の計7人が株価上昇で利益を得たとして課税対象になり・・・、

計約7億円の申告漏れ追徴課税は過少申告加算税を含め約4億円」(朝日新聞2019.6.6)

土地の仕入れを止めろ!在庫を増やすな!

土地の仕入れを止めろ!在庫を増やすな!

「中所得オーナー向け銀行融資が止まり、商談キャンセル続出した!」

仕入れを止めたのは、個人オーナー向け賃貸トランクルーム販売が業績けん引役だったエリアリンク社。

今後は富裕層向け顧客営業へ転換・・・。

「もう相場はピークを過ぎた!」と、スターマイカ社長は個人向け投資物件を全て放出。

北海道スキーリゾート地価上昇を受けての判断。(日経2019.7.24)

過去のバブル終着点は沖縄。今の沖縄は地価高騰。

税収60兆円、借金100兆円、いずれもバブル越え!

税収60兆円、借金100兆円、いずれもバブル越え!

不動産業向け融資残高101兆円。

大規模不動産会社向けは2015~2016年頃、中堅中小向け2016~2017年頃、天井でいったん弱含み。

しかし足元では融資緩和です。

日銀の4月レポートは不動産市場に過熱感はないが、 不動産業向け貸出の対GDP比率は「過熱」状態、融資に注視。

(日経不動産マーケット情報2019.7)