アパート経営目的の親子間土地使用貸借は〇

アパート経営目的の親子間土地使用貸借は〇

「この建物は親御さん名義ですね」・・・親の土地に親のアパート、当たり前の権利関係です。

「建物を子名義にしませんか。所得分散ができますよ。」建物を子に贈与しました。

その後の土地は使用貸借・・・子へタダ(固資税実費)で貸します。

アパートの家賃収入は子のものになります。

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実は昔は違いました。

昭和22~39年の国税庁通達は

「土地の使用貸借の開始時における贈与税の課税の有無は、(各国税)局で定める」

驚くことに各国税局ごと異なる課税をしました。地域により借地権慣行が違ったからです。

特に東京国税局は厳しく、昭和22~33年の親子間土地使用貸借(親の土地に子が自宅を建てる等)を

無償での借地権贈与と見なして、子に贈与税課税をしていました。

昭和34~39年には非居住用建物なら購与税課税をしていました。

つまりこの(A)で建物を子に贈与すると建物だけでなく借地権も贈与したとして贈与税課税だったのです。

「共有」より「配偶者居住権」が 相続税では断然お得!

「共有」より「配偶者居住権」が 相続税では断然お得!

配偶者居住権を選ばずに、共有を選んだ税理士は、損害賠償請求されるようになるかも・・・。

ただ、母より先に子が死ぬと損

・・・「所有者(子)の相続開始時において同様に評価することが考えられる」(改正税 制のすべて)・・・

配偶者居住権は時の経過と地価動向で変動します。

その時に3,000万円ならば、居住権付所有権は6,000万円でなくて7,000万円で相続税課税です。

民法改正要綱には「財産的価値アリ」。

しかし、一身専属権だからと民法1032条③は「配偶者居住権は譲渡できない」。

「例えばホーム入居用のため母子一括1億円で讓渡できるか・・・?道路拡幅で強引に1億円で収用されたら・・?」

配偶者には切実な問題です。

法制審議会では激論。当初は「譲渡できる」、それが「所有者(子)に買取り請求できる」、最終「譲渡することができない」ヘ。

法制審の最終での考え方は・・・?

「配偶者居住権も一つの債権ですので放棄が可能です。 所有権全体を譲渡したい場合には、

配偶者が放棄することによって配偶者居住権を消滅させた上で、負担のない所有権全体を移転することができます。(法制審議事録)」

「放棄の条件として・・・金銭の支払いを受ける」も可(法務省担当官解説本)。

例えば「子は母に解決金3,000万円を払って放棄を受け (「譲渡」ではない)、子の完全所有権にして1億円で売る・・・」。

これなら一括1億円売却と実質は同じ。

問題は税。子にはどう課税されるか。 無償放棄なら贈与税。

でも前述通達は著しく低い対価でなければ=適正対価(3,000万円)を付ければ、贈与税なし。

(現行税制・・・不動産の場合、このような対価あり贈与(負担付贈与)での贈与税は路線価等でなく時価基準での差額への贈与税。

不動産扱いされるのか?)

また母にはどう課税されるか。3,000万円で不動産売却と同じとされ母へ議渡税か? (雑所得?総合議渡?)

(現行税制・・・不動産の場合、負担(3,000万円払うとの負担)付贈与なら(3,000万円で) 売ったとして母に譲渡税。)

なお、配偶者居住権は譲渡不可なので未差押物件なら、差押えできません(議事録)。詐害行為には便利に使えます。

ココイチの減価償却は×!

ココイチの減価償却は×!

カレーチェーンの「CoCo壱番屋」。

創業者は音楽ホールを運営する音楽界のパトロン。

億円単位にもなるバイオリン名器「ストラディバリウス」等を若き音楽家へ貸与します。(以下の金額は一部推定仮定)

さて、そんなバイオリン30丁を20億円で同族会社に売却します。

ポイントは減価償却。楽器の法定耐用年数は5年です。しかし、ストラディバリウスなら17-18世紀の作。つまり5年経過です。

簡便法耐用年数はベンツ同様2年。償却費20億円で赤字20億円。

さて、赤字活用で相続税対策です。

売買代金20億円のうち10億円が未払いのままで、言わば創業者から会社への貸付金状態です。

その10億円を放棄。会社は債務免除益10億円計上。しかし、赤字20億円で相殺でき、法人税ゼロ。

個人財産20億円分を法人に移しました。しかし、売買代金相当(貸付金)が相続財産になります。

その貸付金も放棄で消しました。相続税はドンと減るはず・・・。

税務署は減価償却費の否認。

「楽器も貸与して(事業活動として)いれば減価償却できる!」と税理士から説明を受けた・・・。

普通の音楽家が使用する普通の楽器ならその通りでしょう。

しかし、法人税施行令は「時の経過によりその価値の減少しないものは償却資産にならない」。

美術品や骨董品等のことです。このバイオリンもおなじです。だから償却費20億円はゼロに・・・。

そして、20億円の赤宇も消減し、債務免除益は相殺相手消滅で利益として残り法人税課税です。

「国税局は…いずれの楽器も減価償却の資産にならないとして、約20億円の申告の誤りを指摘した。(朝日新聞)」

追徴課税は過少申告加算税を含め5億円。

更に想定外の贈与税課税です。

債務免除10億円により会社純資産が10億円分増えます。それは株式の株価評価が上がること。

株主が子で、 会社に債務免除したのが親なら「みなし贈与」課税で贈与税(相基通9-2(3))。

「同族会社の株主である夫妻と親族5人の計7人が株価上昇で利益を得たとして課税対象になり・・・、

計約7億円の申告漏れ追徴課税は過少申告加算税を含め約4億円」(朝日新聞2019.6.6)

配偶者居住権消滅時の課税は?(通達公表)

配偶者居住権消滅時の課税は?(通達公表)

来年4月開始の配偶者居住権。

その消滅時課税が7月8日に通達として公表されました。

自宅土地建物1億円。妻75歳には配偶者居住権。所有権は子が相続します。

相続税上で、妻の配偶者居住権は4000万円、子の所有権6000万円とします。

そして妻(母)が死亡します。居住権消滅で土地建物への制約は消滅し、子は自由に1億円で売れます。

子は配偶者居住権消滅益を享受したのです。所有権の価値が6000万円から1億円に上ったのです。

心配は「そこへの課税はあるか?」でした。

結論、「死亡なら課税の心配は不要!」。4000万円は非課税です。

しかし、母による居住権放棄・母子合意での無償解約での居住権消滅なら母から子へ贈与税が課税されます。

贈与税対象額は、「消滅直前の配偶者居住権価額」。

当初4000万円でも時の経過や地価変動で3000万円かもしれません。

そして著しく低額の対価があれば・・・、 300万円払ったのなら・・・、差額が贈与税対象です。

それは対価として3000万円を母に払えば贈与税課税なしということ。

民法1032条「配偶者居住権は譲渡することができない」ですが、対価ありへ現実対応できる通達です。

ただし、まだまだ心配です。「譲渡税課税はあるの?」、

「母子一括同時売却や収用なら売買対価は母子でどう分ける?」、「どう課税する?」

配偶者居住権は、二次相続の相続税節税スキームとして流行るでしょう。

本来の配偶者居住権の創設意義と関係なく節税目的で・・・。
(週刊税務通信2019.7.15)

場合によってはヤブヘビも?

場合によってはヤブヘビも?

さて、税務では死因贈与は遺贈と同じ扱いです。つまり、もし課税されるとすれば、贈与税ではなく相続税なのです。

となれば、この受贈者も金額次第で相続税を納める必要が生じてきます。

ただ、相続人でもない人が他人の家の相続税のことなんか、知る由もない事なのです。

こんな時、上記のお尋ねを受けた方は、税務署に対し何と回答したらいいのでしょうか?

本人との死因贈与契約書を税務署に提示し、贈与された認識はありませんと答えるべきなのでしょうか?

本来の回答はそうあるべきでしょう。

しかし、そうなると税務署の対応は、死因贈与であれば相続税の対象であるので、今度は相続税の申告書の有無が問題に・・・。

もし、その本人のご家族が相続税の申告書を提出していれば、死因贈与を受けた人の財産を含めて申告のやり直しでしょう。

財産が加算されれば、全体の相続税が増加します。

従って死因贈与を受けた人の他、本来の相続人の相続税額の負担も増加します。

それは仕方がないとして相続税が無申告であればどうでしょう?

税務署は死因贈与の回答を得て、相続税課税の有無の判断でしょうか?

そこのお父さん、安易に飲み屋で「死んだらA子に〇〇〇〇円やるぞ!」なんて約束をすると、

後日、ご家族が大変な思いをすることになるかも・・・。

登記簿上の移転原因は?

登記簿上の移転原因は?

この中でご注意頂きたいのが不動産で、名義が変わればそれは税務署の知るところになります。

税務署は 登記所(法務局)と大の仲良し。不動産の名義が変わると、たちどころに税務署にもその情報が・・・。

ある時、こんな事がありました。

不動産について死因贈与契約があり、その契約に基づいて財産を受け取るべき人が登記をしたのです。

その結果、直ぐに税務署の知るところになりました。

こんな時、税務署は何をどのように確認するのでしょう。

実は移転原因が死因贈与なので、単に「贈与」となっていたのです。

「死因贈与」とは登記簿には記載されないのです。

すると税務署は、まずは贈与税の申告がなされているか否かを確認します。

申告書が提出されていれば、今度はその価額が税法上の適正な価額となっているかを確認します。

が、もし申告書の提出がなければ、直ちに税務署得意の「贈与についてのお尋ね」を発送し、

対象となった物、 申告書の提出の有無、提出日、価額、提出先の税務署等が質問されることになる訳です。

天皇に贈与税課税?

天皇に贈与税課税?

「相続税法12条皇室経済法の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物

【八咫鏡(やたのかがみ)・草薙 剣(くさなぎのつるぎ)・八坂曲玉(やさかにのまがたま)等】

の価額は相続税の課税価格に算入しない。」

天皇ご即位に伴う「三種の神器」は、相続税の対象にはならないことは分かりました。

では、今回は生前ご退位。相続税でなく贈与税では・・・?

「退位特例法(平成29年)附則7条皇位の承継があった場合において、贈与税を課さない。」

この特例法が無ければ国税庁も困ったことでしょう。

贈与税を払って相続税を減らす!

贈与税を払って相続税を減らす!

「贈与税は重いので贈与は損・・・?」

「贈与税は軽いので贈与は得・・・?」

『払う贈与税』vs『減る相続税』の比較検討です。

<相続なら…>

相続人は子2人、相続財産1億円。相続税は770 万円で、単純平均の税率は7.7%。

<贈与なら…>

子1人に310万円贈与して贈与税20万円(何で310万円かの理由は後述します)。

「20万円もの贈与税はもったいない?」…を検証します。

310万円の贈与により相続財産は310万円減って9,690万円へ。

財産が減ったので相続税額46万円減です。46万円とは310万円の15%。

相続財産310万円減、その部分への適用される税率(限界税率-表①)が15% です。

100円財産が増えると15円の相続税増。100円財産が減ると15円相続税減ということです。だから310万円の15%、46万円減です。

減る相続税46万円-払う贈与税20万円=26万円の節税。

相続税は累進税率。財産が多い程に適用税率が高くなります。

相続財産1億円で適用税率は15%(子の数・配偶者有無でも変わる)ですが、相続財産2億円なら適用

税率30%。310万円贈与でその30%の93万円相続税が減り、贈与税20万円を払っても、73万円の節税。

5億円は45%で140万円が減り120万円の節税です。