カレーチェーンの「CoCo壱番屋」。
創業者は音楽ホールを運営する音楽界のパトロン。
億円単位にもなるバイオリン名器「ストラディバリウス」等を若き音楽家へ貸与します。(以下の金額は一部推定仮定)
さて、そんなバイオリン30丁を20億円で同族会社に売却します。
ポイントは減価償却。楽器の法定耐用年数は5年です。しかし、ストラディバリウスなら17-18世紀の作。つまり5年経過です。
簡便法耐用年数はベンツ同様2年。償却費20億円で赤字20億円。
さて、赤字活用で相続税対策です。
売買代金20億円のうち10億円が未払いのままで、言わば創業者から会社への貸付金状態です。
その10億円を放棄。会社は債務免除益10億円計上。しかし、赤字20億円で相殺でき、法人税ゼロ。
個人財産20億円分を法人に移しました。しかし、売買代金相当(貸付金)が相続財産になります。
その貸付金も放棄で消しました。相続税はドンと減るはず・・・。
税務署は減価償却費の否認。
「楽器も貸与して(事業活動として)いれば減価償却できる!」と税理士から説明を受けた・・・。
普通の音楽家が使用する普通の楽器ならその通りでしょう。
しかし、法人税施行令は「時の経過によりその価値の減少しないものは償却資産にならない」。
美術品や骨董品等のことです。このバイオリンもおなじです。だから償却費20億円はゼロに・・・。
そして、20億円の赤宇も消減し、債務免除益は相殺相手消滅で利益として残り法人税課税です。
「国税局は…いずれの楽器も減価償却の資産にならないとして、約20億円の申告の誤りを指摘した。(朝日新聞)」
追徴課税は過少申告加算税を含め5億円。
更に想定外の贈与税課税です。
債務免除10億円により会社純資産が10億円分増えます。それは株式の株価評価が上がること。
株主が子で、 会社に債務免除したのが親なら「みなし贈与」課税で贈与税(相基通9-2(3))。
「同族会社の株主である夫妻と親族5人の計7人が株価上昇で利益を得たとして課税対象になり・・・、
計約7億円の申告漏れ追徴課税は過少申告加算税を含め約4億円」(朝日新聞2019.6.6)