そこで民法改正、7月から!

そこで民法改正、7月から!

そんなピンチを救済します。
最高裁判決を是正するために法律を変えました。
民法を改正して、相続預金の一定額までの仮の払戻しを銀行にさせます。
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民法909条の2
預貯金債権額の3分の1に相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額等を勘案して、債務者[ = 金融機関]ごとに政令で定める額150万円]を限度とする)については、単独でその権利を行使する[ = 銀行から払戻しする] ことができる。
[この払戻し額は]遺産の一部分割によりこれを取得したものとみなす。[条文を書直しました]
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家事事件手続法200条③
家庭裁判所は、生活費の支弁その他の事情により、預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときはこの限りでない。(同)
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子ABはそれそれが、総預金額の1/6 ( = 3分の1 × 各相続分1/2) を上限に、かつ一金融機関当たりでは上限150万円を、
単独で払戻せるという新制度です。
預金が4000万円ならその1/6は666万円。
ただし一金融機関当りたりでは150万円が上限です。
これが預金の仮払い制度です。
家庭裁判所にお願いすれば家裁判断次第で上限額はなしになるようです。
2019年7月1日から施行です。

2016年12月最高裁決定で!

2016年12月最高裁決定で!

相続人はABの二人。残された遣産は預金4000万円。

ただし、Aは生前に不動産:5000万円の贈与を受けています。

法定相続分はAB各2分の1。

遺産分割の基準となる財産額は生前贈与(生前受益):5000万円を加えて9000万円なので、各4500万円です。

Aは5000万円の受贈済みなので、Bは「預金全額: 4000万円を受け取って当然!」と思います。

しかし、預金は自動的にA:2000万円・B:2000万円。

分割協議や調停の対象外なのでBは2000万円しか受け取れず、「そんなの不公平だ」と裁判へ。そして、最高裁へ。

普通預金、通常貯金、定期貯金は、相続開始と同時に、当然に、相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。
(最高裁決定2016.12.19)

解約しない限り払戻し不可の定期預金、定期積金も同様。
(最高裁2017.4.6)

相続での預金の扱いが変わったのです。相続に関する限りでは、当然に分割されません。

遺産分割がまとまらない限り銀行は1円たりとも払戻しに応じないことが正しいとなりました。

(※葬儀費用等は、金融機関ごとに便宜的に対応します)

手元に資金のない相続人には厳しい状況になりました。

「預金を引き出したいなら、この遺産分割協議書にサインしろ」とすごまれれば、ピンチです。

相続預金の仮払いが可能に!

相続預金の仮払いが可能に!

遺産未分割でも相続預金の一部の仮払いが可能になります。
銀行預金は、遺産未分割でも、各相続分に応じて全額払戻し可能でした。しかし、2016年最高裁決定で不可になりました。
それでは不便です。民法を改正し、銀行での一定額までの払戻し、つまり仮払いが可能になります。
預金は「可分(かぶん)債権」です。可分とはバラバラに分けられるということ。
可分債権は親が死んだ瞬間、遺産分割協議不要で、自動的に法定相続分でバラバラ分割されてしまいます。
子はAとBの二人。親が残した財産のうち預金は4000万円。財産分けで揉めて裁判所へ。
裁判官は、「預金は調停の対象にしませんよ」と言います。
その理由は、当然にA:2000万円・B:2000万円に分割されるからです。
だから預金はそもそも分割協議の対象外、協議書や調停調書に記される筋合いはありません。
A:3000万 円・B:1000万円などと最高裁判決を逸脱する調書を裁判官は書きたくないからです。
ただ、「A:3000万円・B:1000万円で全相続人合意したのでお願い」と頼み込みこめば、仕方ないかと書いてくれるでしょうが・・・。
「当然分割」なので、AもBも各単独で銀行に2000万円の払戻し請求できます。
ただ、銀行窓口では、相続人全員承諾や印鑑証明を要求されゴタゴタします。
銀行側は相続争いに巻き込まれたくないから厳しいのです。
しかし、大きな声で騒げば、最悪でも提訴すれば、 銀行は当然分割2000万円の払戻しに応じるのが常。
それが正しいのです。

なんでこんな評価方法に?

なんでこんな評価方法に?

相続税課税は時価、自由な取引で成立する客観的価額です。

改正民法1032条:「配偶者居住権は譲渡することができない。」
だから自由な取引などありえず、客観的価額などあり得ません。
にもかかわらず、民法改正要細には、「その財産的価値に相当する価額を相続したものと扱う。」
法制審は換金不可でも財産的価値アリと定め、また 税を考えぬまま評価方法を提示しました。
税理士会連合会は慌てて税制改正建議書で、
「居住権は当事者が合意すれば容易…租税回避防止の観点も踏まえ…」
国税庁も困ったはず。「母を住ませるだけなら使用貸借と同じで評価ゼロだろ」。

しかし、法制審に逆らう勇気はなく、法制審の評価方法に従い税制改正。
それがこの4000万円。絵に描いた餅。譲渡換金できない財産。
一方、子が相続の所有権は居住権の制約付のまま転々と市場流通します。
(「居住権消滅益」への課税はもはや困難?)
さて、その相続評価6000万円の物件、市場では幾らで売れるか?母子一括同時売却や収用なら売買対価は母子でどう分けるのか?
どう課税するのか?今後の課題です。

相続でなにが起こるのか?

相続でなにが起こるのか?

相続税課税は子へは6000万円、妻への4000万円は配偶者控除で税金ゼロに。

いつか妻(義母)の死亡で居住権は消減します。それは土地の制約が消え、子が自由処分できる1億円物件に戻るということです。
さて、4000万円部分への子への相続税課税ナシで済むのでしょうか・・・?

「底地だったけど借地人が勝手にタダで立退いてく れ運良く更地に戻った」と同じ。

ただ、「運良く」ではなく「いつか必ず」です。
義母死亡での言わば「配偶者居住権消滅益」4000 万円…まさか課税はないでしょう(推測です)。
「現時点で取扱いは公表されていないが、配偶者が死亡した場合は配偶者居住権の本来の目的が達成されたのであるから、所有者(相続人とする) に相続税課税することは適切ではないと考える」
意図的な権利放棄消減等でない限り、課税は難しそうです。
また、「課税しません」とわざわざ通達に記されることはなく、当面は明確にならないのではないでしょうか(もちろん課税の可能性もありま す)。
さて、更地100万円の土地なら、妻:75歳、子相続の土地所有権は64万円、配偶者居住権は36万円。
100万円の建物(木造:築10年)から、子相続の建物所有権は22万円、配偶者居住権は78万円。
居住権が4000万円で、所有権6000万円、計1億円。居住権が40%(65歳だと55%、85歳だと24%)。
4000万円部分は相続税課税なしのまま子の財産に移転・・・?
10億円の自宅で有れば4億円にもなり、 東京都の豪華なタワーマンションの購入も可能です。

前妻の子でなく、実子、それも母子同居で使えば、完全に節税目的だらけ・・・。
節税に使えるのであれば、確実に普及するでしょう。

配偶者居住権は節税の道具!

配偶者居住権は節税の道具!

今回の税制改正で新設された「配偶者居住権」は、2020年4月にスタートです。
この「配偶者居住権」 は、従来の「賃借権」や「使用貸借」とは違う新しい権利です。

夫が残した自宅(土地・建物)1億円。
妻75歳には終身住み続ける権利「配偶者居住権」。
自宅所有権 (妻が住むとの制約付き)は前妻の子が相続します。
相続評価額は子の所有権が6000万円で配偶者居住権4000万円、計1億円。

その他の税制改正!

その他の税制改正!

ふるさと納税の対象となる自治体を総務大臣が指定します。

もちろん返礼割合3割超や地場産品以外返礼の自治体はダメです2019年6月の寄附から対象です。
5 月までに寄付すれば大丈夫です。

また、教育資金・結婚子育て資金贈与も改正です。
これら一括贈与特例での、受贈者所得制限、使途を見直し、相続税との関係も見直します。

事業承継税制で資産保有型会社!

事業承継税制で資産保有型会社!

後継者が先代の株式を引き継ぐ事業継続税制です。

中小企業非上場株式は納税猶予制度で2018 年から相続税をゼロにできます。

さて、この特例適用での心配事。

その後に会社が資産保有型会社(資産の70%以上が賃貸不動産や預金有価証券等)や
資産運用型会社(総収入の75%以上が家賃収入等)に該当してしまうと、即座に相続税贈与税の納税猶予打ち切りとなり、
「利子付き税金を払え」となることです。

一定の事情で該当となってしまっても6月以内にそれを解消すれば、打ち切りはなくなります。

誰の将来へ不安を感じているのか?

誰の将来へ不安を感じているのか?

レオパレス21欠陥物件と同社の運用型信託会社レオパレス21の建築基準法違反(小屋裏界壁の不存在の手抜き)発覚の発端は、

5年前、FACTA2013年2月号の記事からでした。

 

「社内には以前から欠陥品との認識があり、繕費用から逃れるために入居率にかかわらず是が非でも早期にサブリース契約を解除して、同社管理下から外し、修繕費用は全てオーナーに負わせた・・・」

記事を見たオーナー会の会長が会員にアンケートを実施しました。

その結果、問題商品シリーズ現存915棟、調査した9割以上に界壁なし。

サブリース解約済みは721棟。サブリース強引解約理由が裏付け判明します。

それを受けて、同社は補修費用等の損失見込額50億円を特別損失に計上しました。

同社はオーナー物件を預かる運用型信託会社「レオパレス信託」を設立。

「信頼のパートナー」を設立し、将来の不安に応えると表明しました。

同社には不特法の小口商品もあります。

もし自社施工物件の小口化なら無クレーム物件化にできます。

また、オーナー物件を信託受託し無クレーム物件化にできます。

オーナーのための「信頼のパートナー」とする一方で、

無クレーム物件化しようとする姿勢が見え隠れします。いったい誰のための将来の不安に応える・・・?

業者買取転売での不動産取得税!

業者買取転売での不動産取得税!

中古住宅を不動産業者が買取り再販します。
売主⇒業者⇒買主、と2回の売買になり、そのまま課税されると「不動産取得税」と「登録免許税」も2回の課税になります。
最初の売買は「不動産取得税」が一定条件で減免され、後の売買は「登録免許税」が減免されます。
それでダブル課税を排除します。
今回の改正は、最初の売買での「不動産取得税」です。
築年により控除額が決まり、最大1200万円控除で、建物評価額が1500万円ならその1200万円控除されます。
税率は3%ですから36万円の減免です。
かつては建物だけの減免でしたが、敷地(土地)への減免も2018年から始まっています。
既存中古住宅流通とリフォーム・リノベーション拡大を狙う国交省による特例措置なので、業者は一定増改築等を行った上で、2年以内に耐震適合住宅として個人に販売し、個人買主が自己居住用にした場合が対象です。
現行の条件は全居室の全ての窓への断熱改修等の場合でしたが、その条件の幅を広げます。
住宅全体の省エネ性能(断熱等級4など)を改修により確保した場合も対象となります。
なお、断熱等級4とは、住宅を断熱材等で包み込んで高い水準の断熱性を実現するものです。