資産は三代続くと無くなる!

相続税のコンサルの現場で、いつも感じるのは相続税の過酷さです。

「相続税」という税制度には、ホントウに恩赦的な配慮というものが全くありません。

「富の再配分」や「所得税の補完」という考え方はわかりますが、本来、生活保護の必要のない人たちが遊戯店などで真っ昼間から遊んでいる姿を見て悔しい思いをする人もいるはず。

よく昔から、「資産は三代続くとなくなる」と言われています。

例えば、兄弟が3人いた場合、その遺産をその3人で平等に等分するとしたら、一人当たりの相続分は1/3になります。

さらにそれぞれに子供が3人いるとして、また平等に三等分すると、元の資産が3×3=9となり、孫の代になると1あった資産は、1/9となります。

こうして三代目にわたる遺産はスズメの涙程になっていきます。

昔から、「子孫に美田は残すな」といいますが、自分が苦労して築き上げた資産を子供達の人生のために譲りたいのが人情です。

その人情の前に立ちはだかるのが「相続税」という大きな壁。

現在、「相続税課税対象者」は100人中4.5人。すなわち4.5%程度です。

しかし、日本国政府は、今後は財政難から大増税路線に大きく舵をとるでしょう。

そうすればこの「相続税」も増税するのは間違いないと思われます。

ここ数年、多くの相続相談をこなしてきました。

その現場で、いつも感じるのはその資産構成比率の偏りです。

ほとんどの人の資産構成のほとんどは「不動産」だけなのが現実。「不動産」は沢山あるにもかかわらず、納税資金としての現金もなければ有価証券もない。

「イザとなったら物納(土地で相続税を軽減する)」と、ほとんどの人は言います。

しかし、国はそれほど肝要ではありません。

相続税を支払う現金がなければ延納。そして、延納の次が物納です。国も相続税のかわりに土地をもらいたくないのです。

ですから、「○○建託のように遊休地にアパートを新築して負の資産を作る前に、現在の遊休地を売って中古のアパマンを購入すれば、来月からスグに現金(納税資金)が入りますよ」ということです。

普通、木造の新築でも建設期間も含めて6ヶ月程度はかかります。さらに家賃保証であれば、当初の3ヶ月間は「免責機関」で保証家賃は支払ってくれません。それだけでも9ヶ月先でなければ現金収入は得られません。

鉄筋コンクリート造のマンションであればさらに先になるでしょう。

だったら、土地を売却か担保にしてお金を借りて中古マンションやアパートを購入する方が、「納税資金を得る」という意味で有利です。

そのようなことを誰も言いません。それが不思議です。

相続対策は必ず3つの対策を立てて初めて成り立ちます。

① 分割対策 ⇒ 遺言、生前贈与

② 納税対策 ⇒ 資産分析、土地の3つの色分け

③ 節税対策 ⇒ 資産圧縮(アパート経営など)

医者が診察なしで、薬を処方しないのと同じで、これらの対策をたてるには「資産分析」が必要です。

ここで、このブログをお読みのあなたへの質問です。

「今、資産がどれぐらいあるか、相続税がどれぐらいかかるか、知っていますか?」

被相続人が死亡した場合、相続開始(死亡した日を知った日)から10ヶ月以内に相続税の申告・納税をしなければなりません。

この短い期間で上記の三つの対策はできません。

また、子供達から相続税の話を切り出すのも難しい(死んだ後のことを切り出すのは気がひける)。となれば、予め被相続人が、上記に上げた①分割対策(遺言、生前贈与)、②納税対策(資産分析、土地の3つの色分け)、③節税対策(アパート経営など資産圧縮)の道筋をつけておくべきでしょう。

しかし、ほとんどのアパート専業メーカーが言うのは③のアパート経営など資産圧縮「節税対策」だけです。

その目的はひとつ。自らが儲けるためです。