税金対策の意外な落とし穴?

では、ここから相続税の節税によいといわれるアパートやマンション経営に潜む「意外な落とし穴」について説明します。

【アパマン経営特有の数字のトリック!】

物事には裏と表があります。

アパート専業メーカーの営業マンに勧められるまま、アパート経営に乗り出す大家さんがほとんどです。

確かに、アパート経営には、相続税・固定資産税の節税効果はあります。しかし、所得税に関しては誰も言いません。

だから大家さん自身が、「大家さん特有の税金の仕組み」を知る必要があります。

このトリックを知ってアパート経営を始めるのか?

それとも知らずに始めるか?

当然ですが、知っておいたほうがリスクヘッジになるのは言うまでもありません。

【減価償却効果も次第に薄れてくる!】

アパート経営を開始した当初は、帳簿上はあまり儲かっていないにもかかわらず、銀行預金にはお金がたくさんある状態が続きます。

その原因は、「減価償却費」です。

「減価償却費」とは、「実際は現金を支払わないにもかかわらず、税務署が経費として認めてくれる費用」です。その結果、所得税0でも財布にはキャッシュが残るわけです。

実はココにトリックがあり、「これからも儲かり続ける」と錯覚してしまいます。そして、豪華な車を購入したり、毎晩、歓楽街に繰り出したり・・・。

しかし、新築で15年(中古の場合、買い方にもよりますが数年)を超えると減価償却費が減り、所得税が牙を剥いてきます(経費にできる減価償却費が減る)。

まず、キモに命じて頂きたいのは、アパート・マンション経営が「最初の頃に儲かるのには訳がある」ということです。

【借入金の返済にもワナが潜んでいる!】

借入金の元金返済に注意が必要です。

課税所得を計算する上で、元金の返済は経費とすることはできません。

アパマンの借入れのほとんどは、元金均等返済方式で、返済開始当初は利息がほとんどです。

ですから、返済年数を重ねていくにつれて、経費にできる金利部分が減り、経費にできない元金部分が増えていくのです。

以上のように、大家業という業種は、「黒字倒産の危険性が高い業種」だといえます。

アパート・マンション経営は所得税対策に優れていると言われていますが、それは最初だけです。

次第にその効果は薄れ、手元に残るキャッシュ以上に申告所得が大きくなってしまうのです。

どんな大家さんでも建物の修繕は必要になります。

周囲にライバル物件がたくさん建ち並べば建ち並ぶほど、より商品力を高めないと入居者を獲得することはできません。

しかし、新築でも13~14年後に、必ずこの現象に出くわします。

このことを知っていれば、豪華な車を購入したり、毎晩、歓楽街に繰り出したりせず、再投資資金を戦略的に蓄える必要があるのです。