高齢で後継者なし企業が対象!

高齢で後継者なし企業が対象!

不動産会社トーセイは物件所有中小企業へのコンサルを開始。

トーセイは首都圏9物件所有の中小企業を買収、4物件所有する企業を傘下に。

オーナーが株式処分で任せれば「オーナーの最終的手取りは2倍以上」、それでいて「市場価格より2~3割安い価格で取得できる」(日経産業2018.6.4)

土地を10億円で売却。法人税は30%の3億円で残は7億円(この段階が現金だけ保有の無借金会社)。

これはまだ法人のお金。株主個人が欲しいのは個人のお金です。

個人のお金にするには会社を清算し7億円を個人に分配。所得税等50%で税金3.5億円。残るは3.5億円。

土地でなく会社(株式)を10億円で売却。株主に直接お金が入り、個人の株式売却益への所得税は20%なので税金は2億円。

残りは8億円。手取りは倍。

トーセイは「不動産M&A」などの仕入れ手法も活用しながら多様な収益物件・開発用地の取得を進めます。(日刊不動産経済通信2019.1.17)

半蔵門駅直結のビル。敷地567㎡は複数の個人所有で、建物7006㎡は法人所有。2017年に三菱地所が買収します。

土地は売買。建物は株式売買(M&A)のよう。登記簿をみると土地は「売買」で所有権移転。

驚くのは建物です。登記原因「剰余金の配当」で三菱地所に所有権移転しています。

三菱地所が全株式を買収して、その会社から建物現物を配当として受けたのでしょう。(日経不動産マーケット情報2017.11)

法人登記を見ると、三菱地所関係者らしき人(登記からは不明)が代表者になり清算を勧めました。

会社を解散清算する前に、株主の三菱地所は配当を受けたのでしょう。現金配当ではなく建物現物での配当を。

このケースで借地権の有無は不明ですが、借地権有りなら借地権も「剰余金の配当」として三菱地所に渡ったはず。

なお100%子会社(全株を買い取ったとすれば)からの受取配当は法人税非課税(益金不算入)です。

不動産M&Aでの個人株主の売り側は比較的問題なし。苦労はデューディリ(買収監査)や少数株主から株式買い集め等です。

不動産M&Aでしか買えない!

不動産M&Aでしか買えない!

個人所有ならもう売却済みのはず。

株式分散で複雑事情法人所有ゆえに売れずに残りました。

株主は高齢化し、「私達の世代で解決しなくては」。

廃業しても跡地は法人所有のままで法人名義の賃貸ビルだったりします。

有利不利とか損得とかでなく、出口はM&Aしかないのです。

財産は現金10億円だけで無借金の会社。多額の現金、 残念ながら大株主でも自由に使えません。

配当や役員報酬として受け取れば膨大な所得税。

役員でない少数株主は役員報酬もなし。

株式分散での会社運営は極めて面倒。

だから「現金10億円の会社を現金8億円で買います」提案が通ります。

8億円から譲渡税20%を払えばあとは自由なカネ。

何億円を失っても、「やっと解決できた」。

現金で2割引なら不動産は4割引。チカラ関係次第ですが、出口は不動産売買は不可、M&Aしかありません。

不動産売買では買えない物件!

不動産売買では買えない物件!

銀座や日本橋の老舗店舗ビル、広大な鋳物工場や鉄工所跡地等、古い法人が所有する優良物件。

100年前、先祖が個人資産をつぎ込んだ法人です。

今、株式は兄弟に、そしてイトコに分散です。株式配当は雀の涙、しかし相続評価は高く、相続税が襲います。

東京駅前、丸ノ内ホテルは1924年開業。三菱地所の東京駅前再開発エリアに場所を移しエリアの土地建物一部を保有。

三菱地所はl961年に株式を少数保有し、3割にまで増やし、2018年に丸ノ内ホテルに対しTOB(株式公開買付)、

8割まで買収。社長は三菱地所関係者に。

多数多様な株主がいたのでTOB形式なのでしょうが、実質は不動産M&A。

ある個人株主(0.35%保有)は売らないとか、大株主の子を非常動役員にするとか・・・と、実態は同族会社。

(日経産業,日刊不動産経済通信各2018.2.26)

株式会社丸ノ内ホテルは非上場ですがユニゾ同様にTOBです。

67%又は90%以上買収すれば残余少数株主の締め出し強制買収(スクイーズアウト)も可能です。

三菱地所はまさか 手荒なことはしないでしょうけれど。

丸ノ内ホテルだけでなく、日本中にある「株式会社どこどこ駅前ホテル」でも同じ問題を抱えています。

共有を回避するための予防策!

共有を回避するための予防策!

以上、今まで見てきたように、信託によって共有を解消できる可能性は確かにあるのです。

しかし、基本的には 他の共有者の協力が必要であることもお分かり頂けたのではないでしょうか。

逆に言えば、その協力が得られない場合、共有状態を解消することも、また困難なものになると言うことなのです。

それでは、「とりあえず共有」にしないためにはどうしたらよいのでしょうか。

それは、相続に当たって財産を分割するのを、分割する当事者に任せないと言うことです。

つまり、生前に遺言書を作成し、財産の分割方法を予め指定しておくことなのです。

ご自身の財産であるからこそ、それをどのように相続させるのか、その方に総ての決定権があることを、肝に命じて欲しいのです。

それこそが財産を所有する方が、次代に引き継がせるための責務なのではないでしょうか。

共有解消法としての信託!

共有解消法としての信託!

共有状態の解消には、

1) 共有物の分割

2) 交換

3) 売買(売却)

4) 贈与

5) 信託

の5手法が考えられます。

その中で本日のテーマである信託ですが、信託とは信頼できる者に財産を託し、契約次第では運用のみに留まらず、

売却・処分までをも依頼する法律行為です。

簡単に説明します。

登場人物は3人。

① 自分の財産を託す人(「委託者」と言う)

② その財産の運用や処分等までを引き受け、実行する人(「受託者」と言う)

③ その財産から生じる利益を享受する人(「受益者」と言う)

の3人がそれです。

信託をすると不動産であれば登記簿上は②受託者名義となりますが、その利益を享受する人はあくまで③受益者。

従って、①委託者以外の人が③受益者になると、①委託者から贈与があったものとされ、贈与税が課税されてしまいます。

そのため基本的には①委託者=③受益者で信託を行います。

ではこの信託が何故解消法になり得るのでしょうか。

例えば➀委託者Aが高齢のため共有者の一人として所有する収益物件の管理が困難になってきたとしましょう。

そのままでは➀委託者Aは他の共有者に自己の意思表示もままならず、共有状態の維持も困難になってしまいます。

そこで、➀委託者Aは自己の持ち分を息子であるBに信託します。

するとBが②受託者としてAに代わり、契約に定めたことは何でもできるようになります。

ただ、Bはあくまで②受託者に過ぎないため、その収益自体はAのもの。

贈与税が課税されないよう、①委託者=③受益者としてあるためです。

もちろん、これだけでは共有の解消にはなりません。

しかし、➀委託者Aに代わって他の共有者にモノを言い、 行動していく事で、共有状態を活性化させ、

場合によっては持ち分の買い取りや売却を促すことにもなり得るのです。

その意味では、信託も共有解消の一方法と考えられるでしょう。

共有の何が問題なのか?

共有の何が問題なのか?

では、共有になると何が問題なのでしょうか。

最大の問題点は、原則として全員の合意が必要なことでしょう。

原則として、と言ったのは、他の共有者と意見が異なった場合、自分の共有持ち分だけを売却や処分ができるからです。

この行為に全員の合意は必要ありません。 完全な単独行為です。

ただ、もしその持ち分が性質の良くない部外者に移転したら、とんでもない状況になる恐れもあるのです。

そうでなかったとしても、そもそも全員の合意と言うのはなかなか難しいものなのです。

ただし、同じ共有でも親と子の場合には、親は子供に有利な事を考えてあげることも多いため、喜んで讓歩もしてくれるでしょう。

しかし、これが兄弟姉妹の場合、お互いに独身であればいざ知らず、それぞれに家庭があれば問題は複雑です。

まさに兄弟は他人の始まりとばかり、醜い争いのもとにもなってしまいます。

なぜ共有になってしまうのか?

なぜ共有になってしまうのか?

財産を分割するに当たり、積極的に共有にすることは少ないと思います。

あえて自分以外の人間との共有を望むことはないでしょう。

共有はいわば窮余の策として、仕方なくせざるを得なかった結果なのではないのでしょうか。

では、なぜ望まないのに共有になってしまうのでしょう。

共有は総ての権利と義務が、共有者全員で持ち分による平等になっている状態です。

これなら全員が不平や不満を言えないからでしょう。

言ってみれば、「とりあえず共有」にしておこうと言う安易な発想なのです。

共有は信託で解消しよう!

共有は信託で解消しよう!

相続が「争族」と言われるようになって久しい気がします。

相続税の申告を考えた場合、原則は亡くなってから10ヶ月が申告期限です。

では、「争族」になり期限までに財産分けができない場合はどうなるのでしょう。

民法上は法定相続分による共有となってしまいます。

共有も夫婦や親子であれば別ですが、兄弟同士の共有は最悪の事態。

一時だけであればこの状態もやむを得ないかも知れません。

ここでは共有の問題点と、それを特に信託によって解消する方法を考えてみたいと思います。

M&A後に税務調査修正申告で株価ゼロに!

M&A後に税務調査修正申告で株価ゼロに!

あるM&A。

株式売買契約書には、「以下は真実正確と表明保証する。その違反により損害があれば・・・賠償する」

「本件契約書締結日以前の法人税その他公租公課につき適正な申告納付を行った」との表明保証もされて

1億5000万円でM&Aが成立します。

半年後に税務調査。法人税消費税の修正申告と加算税とで1億4261万円(判決から推定)。

買主はこの申告漏れを表明保証違反として売主に損害賠償請求。

売主は「指示されるまま契約しただけ。表明保証なんか知らない。」

「買い手はデューデリ精通。監査して株価算定したんだから分かってて当然だろ」。

興味深いのは、損害額を裁判所がどう認定したかです。

M&A前(この租税債務の存在を前提としない)の会計士による価格査定報告書は純資産法とDCF法の併用で

9714万円から1億1873万円の間。

申告漏れ後に別会計士による価格査定報告書では純資産法とDCF法とを平均してマイナス639万円。

裁判所は、「(報告書によれば)契約当時の株式価格は0円であり、この租税債務が存在していないとした株式の価格は、

少なくとも報告書価値下限9714万であると認められる(東京地裁2018.3.28)」

買い値は1億5000万円。でも買った時の会社価値9714万円。

しかし申告漏れ分が簿外債務だったので本当の会社価値は0円(マイナスにはならない)。

損害賠償額は9714万円。(銀行法務212019年8月号)

中古賃貸物件融資期間への金融庁回答の結末!

中古賃貸物件融資期間への金融庁回答の結末!

木造アパートの法定耐用年数は22年。

築20年築古物件への長期融資はどうか。

「耐用年数越え融資はダメ」と金融庁が規制指導していると言われました。

「米国では木造戸建ては60年もって当然といわれているのに、なぜ日本の木造は寿命が一律22年なのか」。

東京の西武信金の理事長が政府委員会で指摘。

金融庁回答は意外にも「そのようなことを指導したつもりはない」。

そしてその西武信金は耐用年数越えのローンを始めます。(週刊東洋経済,2016.10.22)

西武信金は法定耐用年数でなく、第三者機関査定の「経済的耐用年数」での融資を開始。

やがて現場は第三者機関に対して望む耐用年数を示唆し、本来融資不可案件に続々融資。

融資獲得すれば給与が増えるから・・・。

スルガ同様に突き進み、2019年5月に金融庁は西武信金に業務改善命令です。(日経2019.7.27)

「融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である」とあります。

他行に波及・・・?厳格化・・・?築古物件への耐用年数越え融資が厳しくなれば、

多額の自己資金が求められ、買い手が限られ、物件価格に影響します。