共有状態の解消には、
1) 共有物の分割
2) 交換
3) 売買(売却)
4) 贈与
5) 信託
の5手法が考えられます。
その中で本日のテーマである信託ですが、信託とは信頼できる者に財産を託し、契約次第では運用のみに留まらず、
売却・処分までをも依頼する法律行為です。
簡単に説明します。
登場人物は3人。
① 自分の財産を託す人(「委託者」と言う)
② その財産の運用や処分等までを引き受け、実行する人(「受託者」と言う)
③ その財産から生じる利益を享受する人(「受益者」と言う)
の3人がそれです。
信託をすると不動産であれば登記簿上は②受託者名義となりますが、その利益を享受する人はあくまで③受益者。
従って、①委託者以外の人が③受益者になると、①委託者から贈与があったものとされ、贈与税が課税されてしまいます。
そのため基本的には①委託者=③受益者で信託を行います。
ではこの信託が何故解消法になり得るのでしょうか。
例えば➀委託者Aが高齢のため共有者の一人として所有する収益物件の管理が困難になってきたとしましょう。
そのままでは➀委託者Aは他の共有者に自己の意思表示もままならず、共有状態の維持も困難になってしまいます。
そこで、➀委託者Aは自己の持ち分を息子であるBに信託します。
するとBが②受託者としてAに代わり、契約に定めたことは何でもできるようになります。
ただ、Bはあくまで②受託者に過ぎないため、その収益自体はAのもの。
贈与税が課税されないよう、①委託者=③受益者としてあるためです。
もちろん、これだけでは共有の解消にはなりません。
しかし、➀委託者Aに代わって他の共有者にモノを言い、 行動していく事で、共有状態を活性化させ、
場合によっては持ち分の買い取りや売却を促すことにもなり得るのです。
その意味では、信託も共有解消の一方法と考えられるでしょう。