修繕費か?減価償却の対象か?

修繕費か?減価償却の対象か?

これに対し経費はいささか面倒です。最も頻繁に生じる問題は修繕費です。

税務上は修繕費となれば、支払時に全額が経費となります。

それに対し税務用語では「資本的支出」と言いますが、支払時に全額が経費にならないものがあります。

いったん建物や設備等のように資産として計上し、その後何年かに分けて減価償却の手続きを通じて費用としていくものです。

減価償却とは、例えば建物本体で考えた場合、建物が経年劣化することによる価値の減少分、と考える事ができるでしょう。

つまり、建物を取得するための支出は、将来の収入を生み出すための前払いと考えるのです。

そのため支払時に全額を経費化するのではなく、耐用年数を考慮した期間で按分すると言う手続きなのです。

この様に考えると、支払時に全額を経費化することが妥当でないことは理解ができても、実務はさらに複雑です。

総論としては判断ができても、個別具体的には修繕費との峻別は容易ではないからです。

ここでその詳細は述べませんが、あえて一言で言えば、その修繕によって寿命が延びるものは資本的支出と考えていいでしょう。

なお、税法では上記のような考え方とは全く別に、各種の特例を設けて早期の償却を促す制度が用意されています。

これは偏に政治的政策的配慮に基づくものであるた め、素人判断は極めて危険であることに注意が必要です。

ココイチの減価償却は×!

ココイチの減価償却は×!

カレーチェーンの「CoCo壱番屋」。

創業者は音楽ホールを運営する音楽界のパトロン。

億円単位にもなるバイオリン名器「ストラディバリウス」等を若き音楽家へ貸与します。(以下の金額は一部推定仮定)

さて、そんなバイオリン30丁を20億円で同族会社に売却します。

ポイントは減価償却。楽器の法定耐用年数は5年です。しかし、ストラディバリウスなら17-18世紀の作。つまり5年経過です。

簡便法耐用年数はベンツ同様2年。償却費20億円で赤字20億円。

さて、赤字活用で相続税対策です。

売買代金20億円のうち10億円が未払いのままで、言わば創業者から会社への貸付金状態です。

その10億円を放棄。会社は債務免除益10億円計上。しかし、赤字20億円で相殺でき、法人税ゼロ。

個人財産20億円分を法人に移しました。しかし、売買代金相当(貸付金)が相続財産になります。

その貸付金も放棄で消しました。相続税はドンと減るはず・・・。

税務署は減価償却費の否認。

「楽器も貸与して(事業活動として)いれば減価償却できる!」と税理士から説明を受けた・・・。

普通の音楽家が使用する普通の楽器ならその通りでしょう。

しかし、法人税施行令は「時の経過によりその価値の減少しないものは償却資産にならない」。

美術品や骨董品等のことです。このバイオリンもおなじです。だから償却費20億円はゼロに・・・。

そして、20億円の赤宇も消減し、債務免除益は相殺相手消滅で利益として残り法人税課税です。

「国税局は…いずれの楽器も減価償却の資産にならないとして、約20億円の申告の誤りを指摘した。(朝日新聞)」

追徴課税は過少申告加算税を含め5億円。

更に想定外の贈与税課税です。

債務免除10億円により会社純資産が10億円分増えます。それは株式の株価評価が上がること。

株主が子で、 会社に債務免除したのが親なら「みなし贈与」課税で贈与税(相基通9-2(3))。

「同族会社の株主である夫妻と親族5人の計7人が株価上昇で利益を得たとして課税対象になり・・・、

計約7億円の申告漏れ追徴課税は過少申告加算税を含め約4億円」(朝日新聞2019.6.6)