修繕費か?減価償却の対象か?

これに対し経費はいささか面倒です。最も頻繁に生じる問題は修繕費です。

税務上は修繕費となれば、支払時に全額が経費となります。

それに対し税務用語では「資本的支出」と言いますが、支払時に全額が経費にならないものがあります。

いったん建物や設備等のように資産として計上し、その後何年かに分けて減価償却の手続きを通じて費用としていくものです。

減価償却とは、例えば建物本体で考えた場合、建物が経年劣化することによる価値の減少分、と考える事ができるでしょう。

つまり、建物を取得するための支出は、将来の収入を生み出すための前払いと考えるのです。

そのため支払時に全額を経費化するのではなく、耐用年数を考慮した期間で按分すると言う手続きなのです。

この様に考えると、支払時に全額を経費化することが妥当でないことは理解ができても、実務はさらに複雑です。

総論としては判断ができても、個別具体的には修繕費との峻別は容易ではないからです。

ここでその詳細は述べませんが、あえて一言で言えば、その修繕によって寿命が延びるものは資本的支出と考えていいでしょう。

なお、税法では上記のような考え方とは全く別に、各種の特例を設けて早期の償却を促す制度が用意されています。

これは偏に政治的政策的配慮に基づくものであるた め、素人判断は極めて危険であることに注意が必要です。