贈与税は軽い、贈与はお得!

贈与税は軽い、贈与はお得!

相続税ゼロのお宅が贈与税20万円払うのは 「損」、無駄です。

相応の相続税のお宅は、贈与税はお得です。贈与税を支払って、相続税をドンドン減らせます。

ポイントは相続税の「限界税率」です。

贈与税には1年110万円の非課税枠があります。

贈与税をびた一文払いたくないのであれば、310万円の贈与でなく、

3年間毎年110万円贈与すれば贈与税0円で相続財産を330万円減らすことが出来ます。

あるいは、子や嫁婿や孫6人に110万円ずつの贈与なら、贈与税0円で相続財産を660万円減らせます。

この辺は工夫次第です。
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一生一度でも、毎年や5年毎でも、子孫嫁婿に、 50万円でも100万円ずつでも贈与式を行います。

「振込」は感謝が伝わらないからダメ、「現金」で手渡しします。

そして、

「何に使ってもいいけど、できれば教育資金に。 ギャンブル資金だけは禁止。」とジジババが一言。

実質は「がんばってね」、「ありがとう」という気持ちの贈与。札束を介して心が伝わり、後はお食事会。幸せな時間です。

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(以下は親から20歳以上子への贈与)

1人710万円の贈与で贈与税は90万円、税率は 12.6%。まだまだ15%未満なので、理屈上は相続財産1億円でもお得です。

相続財産5億円なら、310万円贈与によりその45%の140万円の相続税減です。

贈与税負担は20万円だけですから120万円節税 (前述の額)です。相続税の適用税率45%です。

1人1,110万円の贈与で贈与税は210万円でその税率 は18.9%。理屈上は1,110万円の贈与がお得です。

表①と表②の相続税の適用累進税率と贈与税の平均税率の比較になり、それが「払う贈与税<減る相続税」の分岐点。

ただそれは「理屈の上」です。そんな多額の贈与は理屈で正しくても「気持ち」の上で、また資金的に、厳しいものです。

だから資産家への提案は、子毎に毎年310万円贈与から。

「1,110万円贈与ですらお得…」と知れば、310万円贈与は実行できます。

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大資産家では贈与税がゼロの110万円贈与を何年続けても間に合わず、毎年相応額の贈与です。

そして贈与税税率での最初の税率10%部分は200万円。その合計で310万円。それを過ぎると税率15%です。

310万円贈与だと贈与税は20万円です(税率区切り額が表②の510万円とか710万円です)

大口資産家なら毎年各子に贈与税前提での贈与。

「贈与します」、「もらいました」と書面にし、銀行振込で証拠を残し、子が税務署で贈与税申告をします。

親による子名義借用の預金はダメです。

親が子名義の預金通帳を作成し秘密にしたまま、 親の預金から子名義の預金に毎年310万円振込、

子の名前で勝手に贈与税申告までしてしまう・・・、 それは贈与ではありません。

税務調査でバレれば、親の財産として相続税が課税されます。

子への贈与で、贈与後3年内に親死亡だと贈与財産は相続財産に加算され贈与効果は消えます。

配偶者の老後を考えたら?

配偶者の老後を考えたら?

民法の法定相続分で考えると、配偶者が自宅の土地建物を相続すると、それだけで大きな比重を占めてしまいます。

だからこそ、居住権だけを取り出して所有権から分離し、配偶者の居住の継続性を担保してきた経緯があるのでしょう。

しかし、そもそも論として配偶者と子がいる場合、

配偶者の法定相続分が1/2、子が1/2の割合が適正なのかどうかは筆者の判断能力を超えています。

ただ、婚姻後にできた財産は、夫婦の協力によってできたものです。

そこに子供の貢献はないのではないでしょうか。

だとすれば、配偶者以外の相続人の相続権など考慮せず、財産は総て配偶者に相続させる、これが本来の姿であるような気もします。

子は両親が亡くなって、初めて親の財産に感謝をしつつ引き継げばいい、と筆者は勝手に考えているからです。

配偶者居住権創設の背景!

配偶者居住権創設の背景!

配偶者居住権とは、被相続人が生前配偶者と共に起居していた土地建物に、

“相続後も配偶者が 所有権を有すること無く居住し続ける事ができる権利”です。

なぜこのような権利を創設する必要があったのでしょうか・・・?

(例)例えば次の事例で考えてみましょう。

遺産が居住用の不動産2,000万円と預貯金3,000万円、相続人は妻と子の2人の場合です。

(ケース①)

法定相続分で財産を分割しようと考え、合計5,000万円を1/2ずつ相続する前提です。

妻は不動産2,000万円を取得すると預貯金は500万円になってしまいます。これだけでは残された人生の生計費としては心配です。

預貯金が少額なのは、不動産が法定相続分である1/2の大半を占めてしまうためです。

(ケース②)

こんなケースも考えられます。

再婚の夫婦で、前妻の子が2人いるようなケースです。

再婚後、比較的短期間後に夫の相続があった場合でも、妻には1/2の法定相続権が生じます。

どれ程妻である期間が短くても、入籍していれば妻は妻。それを前妻の子は快く思わず、財産分けでもめる事はよくあることです。

それを理由に入籍を諦める方も、これまでにはたくさんいらっしゃいました。

それもこれも、不動産の所有権が財産の内に占める割合が大きいためなのです。

嫁は寄与分でなく特別寄与料!

嫁は寄与分でなく特別寄与料!

次は従来からの寄与分の規定の改定です。

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【民法第904条の2】
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の 提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その 他の方法により被相続人の財産の維持又は増加に ついて特別の寄与をした者があるときは・・・
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長男が頑張って親を支えたら、寄与分(一定の財産額)を相続分に加えて受け取れます。

実の娘が親の介護をしても同様です。

しかし、長男の嫁は娘と違い、相続人ではないので寄与分の対象外です。

介護した嫁に一定の財産を与 えるために改正民法で「特定寄与料」の定めが出来ます(2019年7月の相続から適用)。

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【改正民法第1050条】
被相続人に対して、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(※「相続人」ではない)は、相続の開始後、相続人に対し、寄与に応じた額の金銭(「特別寄与料」という)の 支払を請求することができる。
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嫁は相続人ではなくとも、親族(6親等血族3親等姻族)なので特別寄与料の対象者になります。

嫁は相続人に「特別寄与料」を金銭で請求でき、それを相続人は相続分に応じ負担します。揉めたら家庭裁判所に頼めます。

「寄与分」と「特別寄与料」は微妙に違います。

「特別寄与料」は「無償での労務提供」での「財産の維持増加」へ「特別の寄与」をした場合に限られます。

無償で汗をかいたので介護費用がかからずお金が残った、単に役立ったのでなく特別に役立ったかどうかです。

介護日誌等によりその事実を証すること等も必要になります。

民法は、「相続人に請求して支払いを受ける」。

複雑にならぬように、嫁は分割協議には加わらず分割は相続人だけで行います。

嫁は相続人に請求するだ け。

しかし、相続税では「支払いを受けるべき額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして」課税されます。

嫁は相続人でないのに、相続税申告書に名を連ねることになります。

各相続人が支払った額は相続税の課税価格から控除されます。

注意!)2019年7月の相続から適用です!

相続未登記が危険?

相続未登記が危険?

子(相続人)は親(被相続人)の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法第896条)。

それが相続。子が親から一切合財を引継ぐ。つまり、権利 関係上では父と子は同一人物です。

「相続させる」という親の遺言で土地を相続します。

民法が同一と断言するからは相続登記未了でも 「私の財産だ」。

つまり所有権移転登記しなくても 「私の土地だ」と第三者に対抗できます。
(最高裁平成14.6.10)

なお相続させるとの遺言でなく、遺産分割では、法定相続分を超える部分については登記が必要で す。
(最高裁昭和45.1.28)

さて、土地を買いました。「相続」でなく「売買」で す。慌てて登記します。なんで慌てるか?

その理由は、「相続」と違って「売買」は登記をしな いと第三者に対抗できないからです。

売主が二重売買して第三者に先に登記されたら、その土地を取り戻せません。

父は土地について「長男に相続させる」との遺言を残しましたが長男はずっと未登記のまま。

無権利の次男が長男の実印を持ち出し、勝手に自分名義にして第三者に売却しました。土地登記は第三者名義になりました。

長男は「売買」でなく「相続」での取得なので第三者に対抗できます。

第三者の登記は抹消され長男は土地を取り戻します。

さて、このルールは分かりにくいので民法が改正されます(2019年7月の相続から適用)。

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【改正民法第899条の21】
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2.前項の権利が債権である場合、遺言の内容(分割の内容)を債務者に通知をしたときは、共同相続人のできる全員が債務者に通知をしたものとみなして適用する。
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「相続させる」との遺言でも、長男が対抗できるのはその相続分の1/2までになります。

相続分を超える部分は対抗できません。第三者の登記では持分 1/2だけが抹消されて長男に戻ります。

これまでは相続未登記で放置しても権利は全て守られました。

これからは相続登記しないと危ないということになります。

不動産は登記ですが、この場合で債権(預金債権や貸付金)は債務者(預金なら銀行)に通知です。

注意!)2019年7月の相続から適用です!

資産家X氏の相続後、子の相続!

資産家X氏の相続後、子の相続!

資産家であるX氏が亡くなりました。

相続人は配偶者と子が2人、姉と妹です。

ほぼ法定相続分での分割協議も終わり、とりあえずは円満な相続だったのです。

X氏の相続から間もなく、今度は残された遺族の中で最も若い、下の子が亡くなってしまいました

姉妹の妹に当たる方で、便宜上A子としておきましょう。

このA子、資産家の娘だけあって相応の財産を相続したのですが、子供がいませんでした。

つまり、A子の相続人は夫とA子の母親なのです。

 

●A子の法定相続分は?

A子の法定相続分は民法には相続人の法定相続分と言う規定があります。

法律上の相続する権利の割合です。

何もこの権利の割合に応じて財産を分割しなければならない訳ではありません。

極端な話、複数相続人が居る場合でも、全員の同意があれば、一人で独占することだってできるのです。

つまり、相続人の間で話し合いさえ付けば、どんな割合で分けても構わないのです。

ですからこの法定相続分とは、相続人同士の話し合いでは結論が出ない場合の、法律上の目安と考えればよいでしょう。

裁判沙汰にでもなれば、裁判所も一応はこの割合で考えることになります。

A子の場合には、子が居ないので夫が2/3、母親が1/3と言う割合が法定相続分です。