離婚したなら遺留分放棄しろ!

離婚したなら遺留分放棄しろ!

性悪説に立つ相続のプロなら、そんな血も涙もない悪魔の仕打ちを提案しないといけません。

疎遠な孫との良好な関係・・・儚い夢・・・を信じるのも自由ですが。

「孫には何々を」と遺言で遺留分を配慮できれば解決です。

しかし、「全財産を長男へ」遺言・・・財産は長男同居の自宅だけ・・・を完璧に実現したければ傷心の次男への悪魔の仕打ちです。

「(遺留分の)放棄者の死亡等により代襲相続が開始した場合には、代襲相続人の遺留分はどうなるであろうか。

代襲者は被代襲者が生存しておれば取得するであろう相続権以上の権利を取得するはずはなく、

しかも代襲する相続権は遺留分権の欠けたものなのであるから、

代襲者の相続権も遺留分権の付着していないものと解するのが正当であろう。(新版注釈民法(28)有斐閣)」

「代襲相続人はあくまで被代襲者の有する権利の範囲で遺留分を請求しうるに過ぎない。(東京地裁1999.8.27)」

遺留分と戦う遺言書(改正前)!

遺留分と戦う遺言書(改正前)!

「次男が遺留分請求してきたら遺留分にはボロ物件A を・・・、足りなければ次のボロ物件Bを・・・。」

こんな遺言は無効になりました。

なぜ無効・・・?カネ請求に限定され、また根拠の

「遺贈は目的の価額の割合に応じ減殺する。ただし遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときはその遺志に従う」

との旧第1034条が廃止。

ボロ物件とは、「無接道・市街化調整・再建築不可・環境汚染・固定資産税負担・・・等」。

法制審議会資料記載の“事例による遺留分押付け嫌がらせ物件”です。

遺留分請求を禁ず

遺留分請求を禁ず

遺言書作成での、「いかに遺留分の戦い」に勝利するか。

「遺留分請求を禁ず」との遺言・・・もちろん法的には無効ですが、

理由を切々と書き「親父がそこまで言うなら」で収まれば、その意味で有効な遺言です。

親父の相続、全財産4億円。相続人は長男と次男です。 親父の遺言書には「全財産を長男に」。

次男は遺留分侵害額請求です。

従来はモノの請求でした。それが今回の民法改正でカネの請求にかわりました。

次男は法定相続分の半分1億円をカネ・・・金銭の支払を請求します。

(「モノ…物件が欲しい」との請求はできない。)

民法改正で遺留分請求が「遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる(第1046条)」と金銭請求に限定され、

モノ請求からカネ請求に。

改正前はモノ請求。

・・・次男の「遺留分減殺請求」で不動産は共有に

⇒共有解消のため「共有物分割請求」で現物分割(分筆)や換価分割(売却して分配)

⇒この手順ならば 「金銭請求」はないので仮差押等の心配はナシでした。

しかし、この手順だと物件は共有になり紛争の元凶に。

そこで民法改正は「共有にならないこと」を目指しました。

改正後はカネ請求。・・・「遺留分侵害額請求」で「現金で払え」⇒金銭請求なので⇒共有にはなりませんが

⇒長男固有預金の仮差押が可能になります⇒ただし、裁判所が土地処分等を考慮し、相当の期限を認めてくれますが (1047条⑤)。

次男の立場が強くなり、経営者地主資産家の不注意遺言書は後継者長男を破綻させます。

従来は争いにお互い疲れ果てた頃に蜘蛛の糸が下りてきて何とか解決にたどり着きました。

それが問答無用「カネ払え」ヘ・・・。

自社株、工場、自宅は売れません。そこへ「カネ払え」の内容証明。

相続財産はモノだけ。長男が無視を続ければ、長男固有の預金へ仮差押、更に遅延損害金。

それはギリギリでも経営を続けた中小零細経営者へのトドメになります。「もう疲れた・・・」。

従業員には「申し訳ないけど・・・」。長年続いた町工場も、地元雇用も消減します。

M&A仲介会社(事業売却)、不動産仲介(会社清算)、職安 (従業員解雇)の出番です。生前対策には生命保険(現金準備)。