それはさておき、A子の夫はしっかりと法定相続分を主張してきました。問題はA子の母親です。
高齢で情況も十分に把握できないため、当初はA子の姉B子が窓口になり対応をしてきたのです。
しかし、さすがに今後のことを考えると、B子もA子の夫と対峙するのはためらいもあったのでしょう。
成年後見制度に基づく成年後見人を選任し、総てを代理人である弁護士に託したのです。
一方でA子の夫も少しでも有利な条件を引き出そうと思ったのでしょう。
自らが直接相手方の弁護士と交渉をするのを避け、弁護士を立ててきました。双方代理人を介しての分割協議となったのです。
成年後見制度は実務的にはお勧めできるものではありません。
本人を保護するための制度ではあるのですが、これを選択してしまうと何をするのも制約を受けてしまうためです。
家庭裁判所への報告を含め、実際の事務作業が煩雑過ぎるのです。