5)定期借地権方式
定期借地権とは、平成3年の借地法の改正によって創設され、平成4年8月1日以後に設定されたものから適用されます。
更新がなく期間の定めのある借地権で、更新が満了したら、必ず土地所有者に土地を返還しなければなりません。
定期借地権には、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用借地権の3種類があります。
1.一般定期借地権
借地期間を50年以上とし、借地期間満了時に更新しない旨を定められ、借地人の建物買取請求権も排除できる定期借地権です。
この場合、借地人は借地期間満了時に建物を取り壊し更地にして土地所有者に返還しなければなりません。
所有者にとっては、土地を貸したら戻ってこないという不安が取り除かれ、新たな土地活用として利用されるようになりました。
3種類の定期借地権の中では、この一般定期借地権による戸建住宅の供給事業が最も多く利用さえています。
借地借家法第22条によれば、以下の要件を満たしたものを一般定期借地権と定義しています。
1.存続期間を50年以上とする
2.次の3つの特約をすること
・契約の更新をしない
・建物の築造による存続期間の延長がない
・借地人は建物の買取請求をしない
3.上記の3つの特約は公正証書などの書面で行うこと
2.建物譲渡特約付き借地権
借地期間を30年以上とし、借地期間満了時土地所有者が建物を買取る契約をします。
借地期間満了時に地主が建物を買うことにより、契約が終了する定期借地権といいます(借地借家法24条)。
契約終了後、借地人は借家人に移行することで、そのままその家に住むことができます。
また、建物が賃貸用であっても、一般に借家契約を引継がれるので、借家人は従来の家賃その他の条件で建物を使用し続けて良いことになります。
3.事業用定期借地権
専ら事業用に供する建物の所有を目的とし、期間が10年以上50年未満である借地権を設定する場合、期間満了時に更新しない旨を定められ、建物買取請求権を排除できる定期借地権をいいます。
事業といっても賃貸マンション、アパートなどの居住用の建物を目的とすることは認めれていません。
借地借家法第23条によると、以下の全ての要件を満たしたものが事業用借地権となります。
事業用借地権はロードサイド店舗などで利用されることが多く、一般定期借地権よりも地代が高い傾国にあるのが特徴です。
・専ら事業の用に供する建物所有も目的とすること
・存続期間を10年以上50年未満とすること
・借地契約は公正証書で行うこと
▼定期借地権の特徴
・一定期間土地を貸すだけなので事業資金の負担がない
・建築や管理の手間がないので事業リスクがほとんどない
・保証金の運用による収入のほか、地代の安定収入が得られる
・更地としての利用と比較して固定資産税などの軽減が図れる
6)共同開発方式
隣地の土地所有者と共同で各々の土地を出し合い、その土地の出資割合に応じて建物建築費を出資し、その出資割合に応じた建物の持分を取得する方式です。
単独では地形が悪かったり狭い土地を隣地と一体活用することで、効率の良い活用が可能です。
7)建設協力金方式
ロードサイド店舗やスーパーなどで用いられてきた方式で、テナントが土地所有者に建設協力金を差入れ、土地所有者はその資金を基に、テナントに合った建物を建設します。
土地所有者は、建設協力金を一般的に無利息で建物のリース期間に応じて返済していきます。
事業用定期借地権と比較すると、建物を土地所有者が建設して所有するため、リスクは高くなりますが、収益性は良くなります。