所有者不明土地の問題がきっかけで、相続登記 義務化、土地放棄制度へと一気に進みます。
「長期相続登記等末了土地」と「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」は昨年(2018年)6月に成立です。
利用されていない所有者不明の更地(空き家付きなら代執行で更地にしてから)。
地域に役立つ事業、直売所、移動式コンサートホール、保育園建て替え仮園舎等のためなら、
事業主体が民間でも、その更地に知事が最長10年の利用権を設定します。
今年(2019年)6月施行です。
それに先立って昨年11月に登記手続き部分等が先行して施行。
さて、対象となる相続未登記土地の所有者を登記官が探し、一定の所有権登記をします(法40 条)。
この具体的手順が「不動産登記手続きの特則」として新たに定められました。
事業対象地で現所有者を探す必要があれば「特定登記未了土地」。
それが死亡後30年超(施行令10条)相続未登記なら「長期相続登記等未了土地」と名付け登記官が相続人を探して付記します。
登記簿甲区の最終所有者(死亡者)欄に、「長期相続登記等未了土地」と付記し、各相続人の住所記載の法定相続人の関係図を別紙「法定相続人情 報」付属書類として作成し、法務局に保管。
この付属書類は一般公開されず、相続人やその事業者に公開。
登記官が土地所有者にたどり着いたら「登記して下さい」と勧告します。
ただ未登記のまま「既に売却済み」、「遺言で相続人以外に」ということもあり個別に違いますが・・・。
もっと所有者特定が困難な「変則型登記」の土地について、「表題部所有者不明土地の登記及び管 理の適正化に関する法律案」が今年2月22日閣議 決定。
登記簿での所有者は「安土町1丁目1番1号織田信長」、つまり住所と氏名が記載されます。
「変則型登記」とは、
1) 氏名はあるが住所はない(※「織田信長」だけ)
2) 住所氏名の記載のない共有土地(※「豊臣秀吉外七名」)
3) 所有者が「大字関ヶ原」等の、大字名や集落名などの土地
昔の土地台帳から続く、共有地や入会地等で、所有者特定には歴史的文献の調査まで必要。
登記官は、地域の土地家屋調査士や自治体職員に「所有者等探索委員」として調査させ、結果を登記します。
所有者不明なら裁判所が管理者をたてて売却等を可能にします。売却代金は供託され、時効後には国庫に・・・。
相続登記義務化と所有権放案法務省「登記制度土地所有権の在り方等に関する研究会」の報告書が今年2月28日に公表です。
気合の入った報告書です。
⇒ 相続登記を義務化し、違反者には罰金を検討すべき
⇒ 被相続人の死亡の事実と相続対象の不動産を申し出れば添付書類なしに不動産登記簿上の情報を書き換え
⇒ 所有権の放棄を認める
1) 所有者が管理費用の金を払う
2) 災害で危険な状態
3) 土地の買い手がつかない
等を満たす必要あり、放棄後の帰属先や財政負担が課題。
⇒ 所有者不明の放置土地を「放棄したとみなす」ことも検討すべき。
法務大臣は今年2月14日法制審議会に民法と不動産登記法の改正を諮問。この報告書が改正のたたき台になると思われます。
来年(2020年)秋の臨時国会に改正法案提出を目指します。