それでは具体的にはどんなものが修繕費で、どんなものが資本的支出になるのでしょうか。
所得税法や法人税法と言う税法そのものに、それについての詳細な規定はありません。
しかし、各税法には基本通達と言って税務職員が税務上の判断をし、執行する際のルールがあります。
それらの通達は広く公表されていて、誰でもが手軽に参照する事ができるようになっています。
両税法とも通達でほぼ同様の規定をしていて、その概要を抜粋、整理すると、まず資本的支出については、
1) 避難階段の取り付け等
2) 用途変更のための模様替えや改造、改装等
また、修繕費に含まれる費用としては、
1) 建物の移えい又は解体移築をした場合。但し、 解体移築の場合には、旧資材の70%以上が再使用でき、
そのまま従前と同一の規模や構造の建物を再建築する場合に限る。
2) 機械装置の移設
3) 地盤沈下した土地の原状回復費用
4) 建物、機械等が地盤沈下により海水等の浸害を受けたために行う床上げ、地上げまたは移設 の費用
5) 現に利用している土地の水はけの改良等のための砂利、砕石等の敷設や補充のための費用
等々となっています。
その他にも、一つの修理、改良等の費用が20万円未満の場合、
その修理、改良等が概ね3年以内の期間を周期として行われることが、明らかな場合も修繕費として認められます。
が、実務では個別の事情もあり、これで総ては解決できそうにありません。
そこで、修繕費か資本的支出かが判然としない場合に限って、一つの基準としてその金額が60万円未満であれば、
修繕費として扱ってよい事になっています。
また、もう一つの基準として、7:3基準と言うものもあります。
これは継続して行われることが前提ですが、両者の峻別が困難な場合、支出した金額の30%を修繕費とし、
70%を資本的支出とするものです。