配偶者居住権創設の背景!

配偶者居住権創設の背景!

配偶者居住権とは、被相続人が生前配偶者と共に起居していた土地建物に、

“相続後も配偶者が 所有権を有すること無く居住し続ける事ができる権利”です。

なぜこのような権利を創設する必要があったのでしょうか・・・?

(例)例えば次の事例で考えてみましょう。

遺産が居住用の不動産2,000万円と預貯金3,000万円、相続人は妻と子の2人の場合です。

(ケース①)

法定相続分で財産を分割しようと考え、合計5,000万円を1/2ずつ相続する前提です。

妻は不動産2,000万円を取得すると預貯金は500万円になってしまいます。これだけでは残された人生の生計費としては心配です。

預貯金が少額なのは、不動産が法定相続分である1/2の大半を占めてしまうためです。

(ケース②)

こんなケースも考えられます。

再婚の夫婦で、前妻の子が2人いるようなケースです。

再婚後、比較的短期間後に夫の相続があった場合でも、妻には1/2の法定相続権が生じます。

どれ程妻である期間が短くても、入籍していれば妻は妻。それを前妻の子は快く思わず、財産分けでもめる事はよくあることです。

それを理由に入籍を諦める方も、これまでにはたくさんいらっしゃいました。

それもこれも、不動産の所有権が財産の内に占める割合が大きいためなのです。

紀州ドンファン氏!

紀州ドンファン氏!

紀州ドンファン氏の会社の議決権行使と遺産分割の話題です。

親(同族会社の会長)の遺産は、自社株900株。相続人は長男(後継者で社長)・次男・三男。
遺言に 「各300株ずつ」と書かれていれば、各300株となります。

遺言がなく未分割なら法定相続分各1/3ずつですが、900株で各1/3だから各300株にはなりません。
3人共有(準共有)の株が900株となります。
1株の議決権行使はその株権利者の過半数で決まります。
ですから、次男と三男が結託すれば2/3で過半数です。
その株が900株。次男三男結託すれば900株の議決権を行使できます。
長男の意向はこの議決権に反映されません。
あとは株主総会で社長(長男)の取締役解任決議をすればいいわけです。(納税通信2018.10.8)
ワイドショーの話題をさらった紀州のドンファン氏は享年77歳でした。
急死後に覚醒剤成分が検出され、殺人容疑で捜査中。
入籍からわずか3カ月で夫を失った22歳の花嫁。
さまざまな憶測を呼んで不思議ではありません。
紀州ドンファン氏の法定相続人は妻と兄弟4人。妻の相続分は4分の3。
さて、紀州ドンファン氏の酒類販売会社の株主総会です。
妻一人だけが出席。
議決権の理屈から故人全株の議決権を妻が行使します。
他の取締役を退任させ、彼女自身への取締役報酬を年7,000万円に決めます。
分割協議未成立なのに議決権行使で7000万円の財産先取りができました。
会社財産がもし7,000万円だけなら会社の財産はスカスカに目減りし株式価値はゼロ。見事な法の抜け穴です。
(週刊新潮2019.1.3)

取締役報酬に所得税等最大55%課税、相続開始時(スカスカになる前の)株式評価に相続税課税(配偶者控除有)。
ただし、法人は過大役員給与とし、損金否認するかも・・・。
「この世はすべて舞台。男も女もみな役者に過ぎぬ。退場があって登場があって、一人が自分の出番にいろいろな役を演じる。(シェイクスピア・マクベス:お気に召すまま)」