「重要でない&過分の費用」での修補請求!

機能上は問題ないけれど、設計仕様より安い仕様(グレードダウン)で建物が造られてしまったら・・・?

工事代金2億3000万円RCマンション。

屋根防水「下地の構造の剛性が低い場合の仕様が、剛性が高い場合の仕様に(ダウングレード)」等々。

富山地裁(2018.3.28)はグレードダウン損害4250万円(他施工瑕疵と合わせて1.3億円)の損害賠償を認め、

「元の仕様に修補するための費用相当額を賠償する責任を負う」。

名古屋高裁(2019.3.27)では3110万円(合わせて7610万円)に減額されましたが、

「約定仕様に反する施行部分を解体撤去し、約定仕様の通り施行し直すことによって修補することが相当」。

従来は発注側が不利。土台は耐久性あるヒバ材が設計仕様、それが下級品に。

損害額はヒバ材との価格差2万4000円だけ。

「土台取換え工事は著しく過分な費用を要する・・・。

見積と現状の価格差に当たる2万4000円の損害を認める。(東京地裁2011.3.4判決)」

水回り部品につきステンレスビスが設計仕様、それが亜鉛メッキビスに。

損害はビスの価格差1.63円×ビスの本数(東京地裁2003.4.20)

それは「瑕疵が重要でない場合においてその修補に過分の費用を要するときはこの限りでない。(修補請求できない)(民法634条瑕疵担保責任)」だから。

それだから、建設会社はヒバ材を使いませんでした。バレない限りやったもの勝ちなのですから…。

今回判決は悪質だったからか、発注者に厳しい判決です。価格差弁償ではなく工事やり直しの負担。

2020年4月施行の新債権法で634条は

「売主は買主に不相当な負担を課するものでないときは買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。(新民562法契約不適合責任)」。

ヒバ材判決文の「過分の費用」は法律から消え、変わるのか。(日経アーキテクチュア2019.8.8)