1坪の借地人30名が突然出現!

市街地再開発組合の設立には所有権者と借地権者のそれぞれの3分の2以上の同意が必要です。

地主と借地人 とは利益相反があるから「それぞれ」です。

さて、日本橋高島屋ショッピングセンター再開発。

区域内 の地番「日本橋2丁目6-9」は83.63㎡(25.29坪)で4階建て雑居ビル敷地です。

2009年11月24日、三井不動産が土地建物の売買予約の仮登記。

仮登記のまま2010年2月26日に別法人へ所有権を移転します。

2012年11月7日に合同会社15社が設立されます。

全てがこの「日本橋2丁日6-9」が本店所在地。11月20日に更に15社、全て川崎市麻生区。合計30社。

12月12日83.63㎡(25.29坪)を1筆1坪弱の30筆に分筆。

12月13日建物を30社各持分30分の1で購入。

12月14日、 分筆後の30筆に30社それぞれ賃借権の設定登記をします。

これで1坪の借地人30名誕生です。

12月14日に市街地再開発組合設立の認可申請。

借地権者は30社を含めて50名、内40名同意、つまり3分の2以上。

30社がいなければダメだった・・・というわけです。

反対側借地権者は「設立申請後、初めて30社の存在を知った」。

何しろ分筆登記の翌日に建物売買登記。更にその翌日に賃借権設定登記と認可申請です。

2013年4月再開発組合認可。最終、「日本橋2丁目6-9」は三井不動産が購入し閉鎖消滅。30社解散。

東京都の担当者は、「申請時点で客観的に借地権が登記されている実態があれば認めざるをえない・・・!」

30社設立なら反対側は60社設立すればいい・・・。

一番大変だったのは、全社の社名を考えること。その理由は、センスも問われますから。日本橋の現場も大変だったはず。

イオカステ合同会社・アナンケ合同・プラクシディケ・ハルパリケ・へルミッペ一。

調べたらその社名は木星の衛星名だったとか・・・!(東洋経済2019.6.29)