来年4月開始の配偶者居住権。
その消滅時課税が7月8日に通達として公表されました。
自宅土地建物1億円。妻75歳には配偶者居住権。所有権は子が相続します。
相続税上で、妻の配偶者居住権は4000万円、子の所有権6000万円とします。
そして妻(母)が死亡します。居住権消滅で土地建物への制約は消滅し、子は自由に1億円で売れます。
子は配偶者居住権消滅益を享受したのです。所有権の価値が6000万円から1億円に上ったのです。
心配は「そこへの課税はあるか?」でした。
結論、「死亡なら課税の心配は不要!」。4000万円は非課税です。
しかし、母による居住権放棄・母子合意での無償解約での居住権消滅なら母から子へ贈与税が課税されます。
贈与税対象額は、「消滅直前の配偶者居住権価額」。
当初4000万円でも時の経過や地価変動で3000万円かもしれません。
そして著しく低額の対価があれば・・・、 300万円払ったのなら・・・、差額が贈与税対象です。
それは対価として3000万円を母に払えば贈与税課税なしということ。
民法1032条「配偶者居住権は譲渡することができない」ですが、対価ありへ現実対応できる通達です。
ただし、まだまだ心配です。「譲渡税課税はあるの?」、
「母子一括同時売却や収用なら売買対価は母子でどう分ける?」、「どう課税する?」
配偶者居住権は、二次相続の相続税節税スキームとして流行るでしょう。
本来の配偶者居住権の創設意義と関係なく節税目的で・・・。
(週刊税務通信2019.7.15)