どうやら日本の税制は、個人の所得を扱う所得税にしろ、人が亡くなった時に課税される相続税にしろ、
実は「事業」なのか否かが問題になる事が多いのです。
これにより特例の適否が問われ、税務の世界では結構お得になる事も・・・。
ただ、同じ個人を扱う税務でも、所得税と相続税では考え方も違っています。
そこで、何が事業で何が事業でないのか、その結果、どれだけの相違が生じるのかを考えてみました。
●法人が行なえば、総てが事業!
最も分かり易いのが法人税です。
規模がどうであれ、また利益が出ようが出まいが、とにかく法人が行うものは総てが事業です。
その理由は、そもそも何らかの事業遂行の意図を持って法人と言う法律上の人格を得たものだからです。
その意味では自然人とは全く異なる考え方で法人税法も作られており、益金損金と考え方はドライです。
●自然人の個人は何故面倒なのか?
それに引き替え面倒なのが自然人たる個人です。
まず、所得税を考えてみましょう。
個人が何か事を起こして儲かったとしましょう。
所得税の世界では、まずこれが何所得なのかの分類をしなければなりません。
雇用契約に基づく労働の対価なら給与所得、商売で儲かったのなら事業所得。
と、ここまでは一見単純なのですが、この「商売」をどう見るかが問題です。
この行為を不特定多数相手に反復継続的に行っていれば『事業所得』となりますが、
年にたまたま2~3回行う程度なら『雑所得』と認定になる可能性があります。
しかし、それとても、一回行うのに時間がかかり、モノになるのが年に2~3回で、
しかも一回当たりの金額が多額なら、立派な事業所得となるかも知れません。
ことほど左様に回数や金額だけでそれ程簡単に判断できるものではないのです。
定職を持たず、競馬で生計を立てている人がいても、それは事業と考えず、一時所得か雑所得と、これまた難しい問題です。
因みに、ご存じの方も多いと思いますが、宝くじの当選だけで生計が成り立つのなら、10億円でも非課税になるはずです。