売上税消費税導入当時、反対運動の先頭にいた国税OBで中央大名誉教授の宮岡幸雄氏の回想です。
1987年中曽根内閣の売上税は、中小企業団体も法人会も青色申告会も日本商工会議所まで反対に回りついに廃案・・・。
竹下内閣での1989年消費税導入に際しては、その反省から、業界団体に徹底してアメを配りました。
その一方で、ムチもフル稼働。
「賛成しないまでも反対するな」と業界ごと監督官庁に号令し、マルサ や税務調査も総動員します。
反対勢力を威嚇と恫喝とで鎮圧しました。
業界封じ込めに成功し、売上税では反対に回った自民党議員の言動の抑え込みにもつながりました。
大蔵省では職員を全員集め、自分の大学ゼミの先生に協力を求めるよう「ご説明」に行かせたのだとか。
「とにかく新税導入のためには何でもする」と自民党幹部。
衆議院税制特別委員長の金丸信氏は「ゼロ税率でいいからとにかく導入しろ」。
それが消費税反対派はその弾圧に耐え切れず離脱し、商工会議所などの団体も潮が引くように去っていきました。
さて、その際に配ったアメの一つが帳簿控除方式。
売上税では仕入税額控除に税額票が必要なヨー ロッパ型の税額控除票方式でした。
事業者は、「これではがんじがらめになるぞ」と大反対しました。
そこで消費税では、チェック機能のない帳簿控除方式(自己記録式)という現行制度としました。
これが現在に続く日本の消費税の特徴になっています。
3%でとにかく導入され30年。
いよいよ税率10%。免税店、簡易課税、帳簿控除。
昔配ったアメは回収され ていくことでしょう。