民訴法は、「私文書は本人又はその代理人の署名又は押印があるときは真正に成立したものと推定する」とされています。
1,900万円の不動産売買が無事終了。売買契約書その他には売主の署名と押印。
しかし、媒介契約書 は署名だけで押印がありません。
売主は仲介料(54万円)を払わず、不動産仲介業者は払えと裁判へ。
この媒介契約書は「真正に成立したものと推定する」となるか・・・?
簡裁を経て地裁は「仲介料54万円を払え」との判決。
高裁へ。
「他の書類と峻別して敢えて本件媒介契約書についてのみ押印しなかったことは、“媒介契約書を締結 する意思がなかった”と言うべきである。また、1,900 万円という売却金額は2,500万円という上告の当初の希望価格からはほど遠く、“媒介報酬を支払う意思がなかったため媒介契約書への押印を拒絶した” と考えても格別不自然なことではない」。
大阪高裁平成30.3.8判決で原審破棄差戻し。
(判例時報2018.10.11)