それならとにかく将来のために給与を積み立て、退職金で受給をと考えるかも知れません。
しかし、実は役員の場合、税務上過大な退職金は認められません。
それなら役員でなく、従業員にすればよさそうなものですが、従業員と言う立場は会社とは雇用契約によって成り立っています。
雇用契約とは、給与は労働の対価と言う考え方です。従って、役員報酬ほどの金額は見込めません。
となれば、委任契約に基づく役員にするしかありませんが、そうすると結局は前述の過大役員報酬の規定が働くことになるのです。
厳密なルールはないのですが、税務署が考えるのは基本的には同規模、同業種と言う立場です。
客観的に見て、他の会社との比較。同族会社だからと言って、やみくもに高額なものは支給できないのです。
また、税法上の適正な役員退職金は、役員としての退職直前の月額報酬に勤続年数やその功績に応じた割合を乗じて算出されるルールです。
冒頭の人物は1999年から役員なので、功績に応じた割合を仮に2.5倍とすれば、
(10億円÷12ケ月)×20年×2.5
で約42億円の退職金・・・?すごい金額です。