紀州ドンファン氏!

紀州ドンファン氏!

紀州ドンファン氏の会社の議決権行使と遺産分割の話題です。

親(同族会社の会長)の遺産は、自社株900株。相続人は長男(後継者で社長)・次男・三男。
遺言に 「各300株ずつ」と書かれていれば、各300株となります。

遺言がなく未分割なら法定相続分各1/3ずつですが、900株で各1/3だから各300株にはなりません。
3人共有(準共有)の株が900株となります。
1株の議決権行使はその株権利者の過半数で決まります。
ですから、次男と三男が結託すれば2/3で過半数です。
その株が900株。次男三男結託すれば900株の議決権を行使できます。
長男の意向はこの議決権に反映されません。
あとは株主総会で社長(長男)の取締役解任決議をすればいいわけです。(納税通信2018.10.8)
ワイドショーの話題をさらった紀州のドンファン氏は享年77歳でした。
急死後に覚醒剤成分が検出され、殺人容疑で捜査中。
入籍からわずか3カ月で夫を失った22歳の花嫁。
さまざまな憶測を呼んで不思議ではありません。
紀州ドンファン氏の法定相続人は妻と兄弟4人。妻の相続分は4分の3。
さて、紀州ドンファン氏の酒類販売会社の株主総会です。
妻一人だけが出席。
議決権の理屈から故人全株の議決権を妻が行使します。
他の取締役を退任させ、彼女自身への取締役報酬を年7,000万円に決めます。
分割協議未成立なのに議決権行使で7000万円の財産先取りができました。
会社財産がもし7,000万円だけなら会社の財産はスカスカに目減りし株式価値はゼロ。見事な法の抜け穴です。
(週刊新潮2019.1.3)

取締役報酬に所得税等最大55%課税、相続開始時(スカスカになる前の)株式評価に相続税課税(配偶者控除有)。
ただし、法人は過大役員給与とし、損金否認するかも・・・。
「この世はすべて舞台。男も女もみな役者に過ぎぬ。退場があって登場があって、一人が自分の出番にいろいろな役を演じる。(シェイクスピア・マクベス:お気に召すまま)」

2016年12月最高裁決定で!

2016年12月最高裁決定で!

相続人はABの二人。残された遣産は預金4000万円。

ただし、Aは生前に不動産:5000万円の贈与を受けています。

法定相続分はAB各2分の1。

遺産分割の基準となる財産額は生前贈与(生前受益):5000万円を加えて9000万円なので、各4500万円です。

Aは5000万円の受贈済みなので、Bは「預金全額: 4000万円を受け取って当然!」と思います。

しかし、預金は自動的にA:2000万円・B:2000万円。

分割協議や調停の対象外なのでBは2000万円しか受け取れず、「そんなの不公平だ」と裁判へ。そして、最高裁へ。

普通預金、通常貯金、定期貯金は、相続開始と同時に、当然に、相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。
(最高裁決定2016.12.19)

解約しない限り払戻し不可の定期預金、定期積金も同様。
(最高裁2017.4.6)

相続での預金の扱いが変わったのです。相続に関する限りでは、当然に分割されません。

遺産分割がまとまらない限り銀行は1円たりとも払戻しに応じないことが正しいとなりました。

(※葬儀費用等は、金融機関ごとに便宜的に対応します)

手元に資金のない相続人には厳しい状況になりました。

「預金を引き出したいなら、この遺産分割協議書にサインしろ」とすごまれれば、ピンチです。