インボイス導入で経理事務量の増加

インボイス導入で経理事務量の増加

今回、回収されるアメはこの帳簿控除方式。

インボイス(税額控除票)方式が導入されます。

「幾ら消費税を払ったのか(消費税申告で幾ら仕入税額控除するか)」の集計は現行では帳簿上だけで済み、手続き不要です。

帳簿上の支出合計額に8/108(現行の8%なら)するだけで済みます。

領収証一枚一枚に記載の消費税額を集計しないで済みます。

今後は8%と10%が混在するレシートとが出現します。

するとこの方式では不可能だとの理屈で、消費税額を明記した適格請求書「インボイス」の発行と保存が義務付けられ、

2023年に完全実施される見込みです。

会計システムは根本から変更、経理の増加事務量は膨大です。

軽減税率が無駄な作業を増やします。

消費税導入時の旧大蔵省の威嚇!

消費税導入時の旧大蔵省の威嚇!

売上税消費税導入当時、反対運動の先頭にいた国税OBで中央大名誉教授の宮岡幸雄氏の回想です。
1987年中曽根内閣の売上税は、中小企業団体も法人会も青色申告会も日本商工会議所まで反対に回りついに廃案・・・。
竹下内閣での1989年消費税導入に際しては、その反省から、業界団体に徹底してアメを配りました。

その一方で、ムチもフル稼働。
「賛成しないまでも反対するな」と業界ごと監督官庁に号令し、マルサ や税務調査も総動員します。
反対勢力を威嚇と恫喝とで鎮圧しました。
業界封じ込めに成功し、売上税では反対に回った自民党議員の言動の抑え込みにもつながりました。

大蔵省では職員を全員集め、自分の大学ゼミの先生に協力を求めるよう「ご説明」に行かせたのだとか。
「とにかく新税導入のためには何でもする」と自民党幹部。

衆議院税制特別委員長の金丸信氏は「ゼロ税率でいいからとにかく導入しろ」。
それが消費税反対派はその弾圧に耐え切れず離脱し、商工会議所などの団体も潮が引くように去っていきました。
さて、その際に配ったアメの一つが帳簿控除方式。
売上税では仕入税額控除に税額票が必要なヨー ロッパ型の税額控除票方式でした。
事業者は、「これではがんじがらめになるぞ」と大反対しました。
そこで消費税では、チェック機能のない帳簿控除方式(自己記録式)という現行制度としました。
これが現在に続く日本の消費税の特徴になっています。
3%でとにかく導入され30年。
いよいよ税率10%。免税店、簡易課税、帳簿控除。
昔配ったアメは回収され ていくことでしょう。

消費税の軽減税率!

消費税の軽減税率!

軽減税率は欧州での失敗税制だけれど仕方がないようです。

税率は、「みりん10%、みりん風調味料8%」。
「水道 水10%、飲料用ボトルの水道水8%」。困惑します。

2014年4月の「OECD消費税グローバルフォーラ ム」の共同宣言は、
「低所得者世帯の負担を緩和するため、軽減税率 を導入している国もあるが、軽減税率は、低所得 者を支援する方策として、対象者を限定した給付 措置に比べると極めて非効率であるということが 確認された。」
と反省します(財務省訳・内閣府 HP)。

OECDは2014年、日本に、
「複数税率に伴われる歪みと不十分なターゲティン グを避けるために単一税率を維持するとともに、 2015年に消費税率を計画通りに10%に引き上げる」 と提言しました(OECDのHP)。

軽減税率(複数税率)は欧州の税制で、その欧州を 中心とするOECDが軽減税率を失敗と断じるのです。

そして、その轍を踏むなと日本に忠告してくれたのに・・・。
デンマークは税率25%なのに食料品軽減税率なし。

米国連邦税に消費税(付加価値税)がないのは
「免税措置の要求が行政を混乱させ分配上の不公平をもたらす」
と米国財務省が報告書で否定したからです。

軽減税率ではさっそく行政を巻き込み陳情合戦の混乱。

新聞業界は成功し毒頭を喰らいましたが、 雑誌業界は失敗しました。
(東京税政連2018.11.1)

ダメ税制と分かりながらも、公明党の要望だから・・・。
国会議員は「弊害は分かっても政局だから仕方ない・・・。」