お金」vs「にぎわい」?  「儲け」vs「文化」?

2000年、有楽町駅前のそごう東京店退店後の後釜の入居コンペのお話です。大家は読売新聞社。

ルミネは、前テナントを若干上回る賃料しか提示できずに、ビッグカメラが入居します。その賃料はルミネ提示の2倍以上。

2010年、西武有楽町店退店後のコンペのお話です。大家は朝日新聞社。

ルミネが入居します。イオンやヤマダ電気の提示家賃より何割も低いのですが、どういうわけか選ばれました。

(日経MJ2017.10.25)

豊島区庁舎跡地6,600㎡、定期借地地代76年分一括払の活用コンペのお話です。

アパホテルがダントツ411億円。しかし、191億円の東京建物連合に決定。「劇場」で「にぎわい」演出します。

アパホテルは2,000室大型ホテルとコンビニ等のみ。豊島区は「お金」よりも「文化」と「にぎわい」を選びました。

(日経電子版2016.1.4)

有楽町から丸の内へ続く「丸の内仲通り」は素晴らしい一級の街並みだと思います。煉瓦敷き道路とイキな歩道、モニュメント、絶えることのない花、夜にはイルミネーション。

何とも残念なのは日本生命の東京駅前の大きなビル。有楽町からの人の「にぎわい」の流れをこのビルが遮ります。東京駅前に、商業施設は地下のコンビニだけの、コンクリートの箱をドデンと作りました。竣工当時、このビルを見て何とも悲しくなりました。

日本の顔、東京駅の駅前はどうあるべきとの哲学や文化は「日本生命には関係ない」ようです。

新装の丸の内駅前広場から見回せば、他のどのビルも4~5階までは「にぎわい」施設なのに残念です。

この土地は、国鉄本社跡地の入札で日本生命が買った士地です。入札は「にぎわい」や「文化」よりも、金額だけだったのでしょう。

土地基本法は「土地については公共の福祉を優先させる」、「士地はその所在する地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じて適正に利用されるものとする。」

このビルはこれに外れているんじゃない?日本生命は東京本部ビルの存在そのものがコンプライアンス(法令等遵守)違反じゃない?

このビルと駅前広場を挟み向き合う日本郵便のビル「KITTE」が、「にぎわい」を東京駅へ繋ぎました。